発酵妄想・暴走風味(爆)。
まぁ、読む前に、総ての引き金になった、ここのアロエ・購買部娘の漫画にも目を通しておくのが、吉。
あ、あと、「ラスクはこんな子じゃない!」とかいって、カミソリ・ウィルスメールを送ってくるのは勘弁。
狂想曲? 狂騒曲?
「『あのさ、その』 なに? 『そんな紛い物で、満足……できるの?』 へ? 『ここに、本人居るんだよ? なのに、』」 クルクルと忙しなく声色を変えるラスクを眺めて、クリス*1は、その妄想のたくましさに呆れ果てていた。 なんとなく、辺りの雰囲気が冷たくなった気がしたので、彼女は、視線を巡らせた。 ……どうして、そう感じたのか、なんとなく判ってしまった。相手の方も、彼女が感付いたことを理解したのだろう。「何も言うな」との仕草を見せて、足音を忍ばせながらにじり寄ってきた。長いポニーテールと、それをまとめる大きな白いリボン。他の生徒たちと同じように、ツーピースの出で立ちではあるが、へそを露わにした姿と相まって、活発そうな印象が強い。 タイガと同時期に編入してきた少女。ユリだ。 クリスは、今回、彼女にフィギュアのモデルを頼んだのだが、そのこだわり故に、痛い目に遭わされたのも、記憶に新しかった。 足音を忍ばせている時点で、おそらく、彼女は聞いていたのだろう。ラスクの、暴走気味な妄想でのやりとりを。もっとも、足音を忍ばせるだけではなく、ゾッとするようなオーラをまとう、というより、撒き散らしつつにじり寄っていた。 クリスとしても、二人の関係を知らないわけでもない。別に、ユリ本人が、口にしなかったとしても、年頃の少女たちが、二人の関係に気がつかない、とは思えないし、誰かが感付いてしまえば、『人の口に戸は立たない』との表現もある。 アカデミーに居る間は、購買部に。それ以外は、シャロンについて回っていれば……いやでも耳に入ってくる。 で、トドメに、のろけ交じりの自白だ。これで気付くな、と言う方がどうかしてる。 ――もうすこし、成長した方が良い……って言ってあるのに。 「へぇー、ちょっと聞きたいんだけどさ、ラスク」 それまで、かるくにやけていたラスクの表情が、一気に凍り付く。声を聞いただけで、自分の置かれている状況を理解したのか、いつでも椅子から飛び降りることのできる体制をとっている。 「それ、なんてエロゲ?」 ユリのトドメの言葉を言い終えるかいなかのタイミングで、脱兎の如く、ラスクが逃走を図る。 「な、なんでもなーい」 「マテ、コラ、マセガキ!」 ラスクの後を追って、購買部を後にしようとしたユリに、クリスが声をかけた。 「仲、いいんですね」 「え、あ、ちょ、へ? うわっ」 「あ、白」 色の意味は、言葉にするまでもないだろう。クリスの言葉に、バランスを失ったユリが、派手に転倒しただけのことなのだから。 「ちょ、ちょっと、何言ってるのよ。誰があんなマセガキ!」 「はいはい、そう言うことにしておきますね」 「人の話ぐらいちゃんと聞いてよぉ」 ユリの抗議を無視しながら、クリスは、包みを三つ取り出した。 「一応、目印着けておきましたから。一つは、ラスクに。で、残りの二つは、ユリさんに。あ、あと、そこのも、ラスクに」 と言って目配せでラスクが座っていたテーブルに、所在なさげに佇んでいるフィギュアを示した。 「これが、この前言ってたフィギュアなんだ……って、どうして、私より先に、あのマセガキが持ってるのよ?!」 「だって、ユリさんより先に、ラスクが来たものですから。あの子、結構、地獄耳なんですよね」 地獄耳にも程がある、とユリは思わずにいられなかった。フィギュアのモデルになったことは、一切漏らしたことはなかったはずなのに、だ。最も、クリスの口ぶりにヒントがあるとするのなら、なんとなく考えるのがいやにもなった。だったら、考えるよりも、彼女の仕事を見届けるか、と自分がモデルとなったフィギュアを手に取った。 「へぇ〜……良くできて……???!?」 一通り眺めたあと、何気なくのぞき込んでしまったところで、ユリの言葉が止まる。 「ありがとうございます」 が、制作者の方は、ユリの変化などお構いなしに、彼女の感想に感謝の言葉を返していた。 「自分でも、会心の作だとおもったんで、ラスクにもあげようと思って、渡したんですけど、渡したところで、トリップしちゃって」 「な、なんてところまで作ってあるのよ! それに、何も私に頼まなくても良いじゃない」 「私やラスク以外の方に見られても良いって言うんだったら、ユリさんに頼んだりしませんよ?」 とのクリスの言葉を聞いた瞬間は、意味を理解できずにきょとんとした表情で応えたユリだったが、その意味を察したのだろう。ただでさえ赤くなっていた彼女の顔は、次の瞬間には、火が出そうな勢いの赤さに染まっている。 「そ、そんなこと言ったって、あんなところまで作ってたら、手に入れた連中が見ちゃうじゃない」 「言われてみれば、そうですね。でも、今ユリさんに渡したの、三つのうちの二つは、はいてませんよ?」 「え?」 「スカート」 表情一つ変えるどころか、微笑みすら浮かべて、とんでもない事を口走ったクリスに、口をぱくぱくと動かして、言葉に出来ない抗議をする以外、ユリには出来なくなった。 「モデルしていただいたわけですから、やっぱり、確かめていただかないといけませんし」 「それだったら、一つで良いし、ここに確かめに来れば済むだけの事じゃない!」 「それも、そうですね」 のれんに腕押し、糠に釘……とは、今の彼女のことを言うんだろう。どう考えても、自分の方が、分が悪い……と言うべきか、相手がはなっから気にしてない、と言うべきか。 「……判った。ラスクに渡しとくから」 「お願いしますね。今、ユリさんにお渡しした四つ。それ、量産品じゃありませんから」 トドメを喰らわされたような気がした。 「絶対、内緒だからね」 「このフィギュアのことですか? それとも、ユリさんとラスクのこと、ですか?」 「両方!」 噛みつくような言葉を投げかけながら、クリスが差し出したフィギュアをひったくると、ユリは購買部を後にした。 「ラスクも、ユリさんも、つつき甲斐があって、飽きませんね」 いたずらっぽい笑みを浮かべて、クリスはユリの背中を見送った。
……なんつー代物書いてんだ。
ユリ×ラスク推しのふゆざきです。
自分で書いてて言うのもなんだけど、需要無さそー、受けわるそー(爆)。しかも、かなり、妄想暴走してますよ?
こういうSSを書くときってのは、大抵なんか一つ、書きたいシーン、言わせたい台詞、ってのがあってそっから膨らませてでっち上げるって方法を採ってるんだけど……今回は、どれが当たるのでしょうか?
なんて言ったところで、わかんねーよね(汗)。
そんな難しい話じゃないです。これの見出しに使った『sneg』。「あ、白」とか思った人はハズレです。そっちはでっち上げ部分ですから。
なんとなく、ユリにこの台詞言わせてみたくなって、で、その相方にラスクを選んだのは……nto216氏が、以前描いてたQMAイラストの影響ですな。
そっから妄想が強化されて、こうなった、と。
とりあえず、この話の中での設定としては、まず、ラスクとクリスこと『購買部の子』は、姉弟ってことに。だって、1時代のラスクの好きなこと『貯金』ですぜ? で、『購買部の子』の方は、あのデザイン……
別段、この二人なら、血縁関係有っても、おかしくなさそうだし(滅)。それから、姉だけど、年齢に達していない、って事にしとけば、ね。ほら、キャラとして選択できなくても、なんら不思議はないってことで。
この話の中では、一応、ユリとラスクは付き合ってるような感じ、かな。ラスクの方が最初にユリに懐いて、で、ユリもそれにほだされるように、って流れ。ユリとしては、まわりに知られたくないんだけど、ラスクがクリスに喋るわ、本人隠してるつもりでも態度でバレバレだわ、シャロンはクリスから聞いてるわで、結局まわりに知られてると。
タイガはどうしてるか? タイガにとって、ユリは異性として意識する存在ではない感じ。ラスクに懐かれたことを相談されて、「良かったやないか」って本気で言った挙げ句に、「年下やろ? いっそ、お前の色に染めてまえ」とか、言ってしまって、真っ赤になったユリにタコなぐり。(ォィォィ
*1:購買部の娘さんの名前は、ここじゃ、クリスにけってー(マテ