#11・『Break the Wall 1st Half』#5

これを書く前に、あんなこと書いたから、今日はないと思ったでしょ?

どっこい。
……本当のクライシスは、明日訪れる。orz
さてさて、毎度のように。
この話の先頭は、5/1。このブロックの先頭は、5/10から。
んでは、本文をどぞ。

Break the Wall 1st Half #5

<- 『Break the Wall 1st Half #4』

「邪魔、してごめん」
 普段からは想像できないほどしおらしい態度のユリに、返す言葉が思いつかなかったラスクだったが、無理矢理言葉をひねり出すことにした。
「そうでもないよ。今までの復習をしてただけだし」
「その……さ……」
「シャロン姉から聞いた話のこと?」
 事もなく、あっさりと本題を切り出したラスクに、ユリの方があっけにとられた。
「……うん」
 黙ったままで居るのも、気分の悪い状況に陥ってしまい、戸惑いながらも彼女が頷く。
「僕も、はじめて聞いたときは、どうしたらいいのか判んなかったんだ」
 もしも、自分が同じ立場だったらどうだろう?
 それが、考えたところで意味のないことであることぐらい、ユリにも判っている。が、目の前で、平然とその事を口にする少年を見ていると、何故かいたたまれなくなってくる。

 両親は、共に、このアカデミーの出身者。
 それだけではない。彼女たちの目標でもある賢者号を授かり、野に下り、フィールドワークをライフワークとし、それに殉じた。
 が、彼だけが、そのことを知らないままに、両親の歩んだ道を辿るように、このアカデミーに籍を置いていた。

 それは、自分が知らなかった一面。
 ラスクのあらゆる顔を知っていると、思い上がっていた自分を叩き伏せた、現実だった。

「ロマノフ先生ったらさ……?!」
 思い返すように、初めて聞かされたときのことを語っていたラスクの言葉が途切れたのは、背中から、そっと抱きしめられたからだ。
 彼に抱き枕を買う決心をさせた、手加減無しの全開ではなく、まるで、壊れ物を扱うような彼女の抱きしめ方。そして、絞り出したような彼女の問いかけ。
「辛く、ないの?」
 この問いかけに託された、本当の質問を、ラスクは読み取ってしまった。
 どうして、ユリが沈んでいるのか、そんなことぐらい、判っている。だから、できることなら、笑ってしまいたかった。もうすぐ、肩書きが同じになるんだから。
 でも、「大丈夫。気にしないで」と、すんなり口にすることができない自分が居る。今、彼女の前で涙に暮れるのは――お互いの心理面に、良くない影響を及ぼすかも知れない。
 だから、間ができてしまった。

 乱暴にユリの両手をふりほどくと、ラスクは俯きながら応えていた。
「今日、決めるから…… 追いついてみせるから。だから……明日、僕がここに顔を出すまで、待ってて」
 反乱にも感じ取れた、その反応に、ユリは驚いていた。言葉を返そうとした時、ラスクの肩が微かに震え始めていることに気がついた。
「決めるから、ぜったい……今日、決めてみせるから」
 自分の決心をユリに告げると、ラスクは振り向かずに走り出していた。
「ら、」
 後を追いかけようとしたユリの手を、タイガが掴んだ。妨害者、いや、制止者が誰だったのか理解したのか、ユリの表情が複雑な物に変わる。
「今、追いかけるのはやめといたり。ラスクにも、いろいろ有んのやから」
「けど……」
「あんな…… いくら、自分の好きな相手やいうても、女に泣き顔っちゅう弱味見せるのって、一大事なんやぞ?」
 ふりほどかれた時に、ラスクが垣間見せた、少年としての力強さに、ユリは微かな不安を感じていたのだ。
「んな、心配そうなツラ、すんな。ラスクはなんて言うとった?」
「今日中に決めるから、って」
「あいつの中には、行けるって目算があるんや。それ信じて、待っとったり」
「でもさ……」
「『でもさ』やない。ラスクは、お前より、予選落ちの回数は少ない、ゴールドメダルは多い、ってヤツやぞ? 心配せんでも、今日中に決める、いや、決められるわ」

To be continued...-> 『Break the Wall 1st Half #6』

えーっと……引きの台詞は、3日連続で、タイガ兄ちゃん。
構成に芸がないのぅ。⊂⌒~⊃。Д。)⊃

そうそう。らおうさんのところからリンク辿ってった先で、『ものっそいいきおいで悪人面なタイガ兄ちゃん』を見かけたんだけど……
ここの話の雰囲気じゃ……ちょっと、いや、悪人面も似合うかもしれんなぁ……
特に、ラスクに『説教』するときとか。あ゛、後、八つ当たりしたときも、あんな顔してたのかも知れない。

あ゛ー……明日の分、マジでヤバイな。お茶濁すかも知れない。この3日分の第一稿を肴にして。

……できれば、こいつは、本気の最終手段なんで、できれば使いたくないところ。使わずに済むように、必死で書くことにします。はい。