#02・『ラスク・Pre-Expert』#2

一応、この次にあたる部分はすぐに出せると思うけど、そっから先は……時間かかる……orz
運び決まりきってねーよー……派手に時間を吹っ飛ばすか、無理を感じさせない程度に飛ばすか……

ちっ……
先送りしてきやがったか。ま、いいや。ここでの解釈は、これで行くから(謎)。

ラスク・Pre-Expert#2

<- 『ラスク・Pre-Expert #1』

 ラスクにとって、『それ』は、未だ「想い出」として昇華できたわけではない。今の彼は、確かに、それを気付かせないように、気付かれないように振る舞うことができるようになった。が、ちょっとした油断で、『それ』は表情としてあふれ出しそうな恐怖がついて回っていた。

 本来、いや、一般的なら、彼はまだ庇護の下にあることが当然で、また、二人のぬくもりは、自分たちのところから離れていたとしても、最終的にはもどってくることが、当然だったはずなのだ。
 彼女の家で、姉と共に暮らしていたのは、もどってくることを待つためだった。が、待てど、暮らせど、迎えにくる気配はなく、何時の頃からか、手紙も途絶えた。
 彼女の両親は、辛くあたることはなかった。そう。二人と同じぐらい、慈しんでくれた。が、彼女の父親は、突然、人が変わった。彼が知ろうとすること、いや、知りすぎることを恐れているように映った。何かがあったのか、彼女は、父親に反発することが増えた。姉は、何故か、彼女の父親の手伝いをするようになっていた。
 そして、自分は、父親の制止を振り切った彼女と共に、このアカデミーに入学していた。
――僕も、いつか……賢者になるんだ。
 彼女の言葉を繰り返すように、そう言い聞かせて。


「で、どないするんや、ラスク?」
 音符を飛ばしながら、半強制的に参加者を集めているルキアを、きょとんと見送っていたユリとシャロンの隙を突いて、教室の外に出たラスクを、タイガが待ちかまえていた。
「しばらく、トーナメントに集中しようと思ってるんだけど」
「お前さんも、いよいよ上級魔術士か」
「まだ、判んないよ」
 うんざりしたような表情を浮かべて、タイガの言葉に応える。
「そうでなくても、マルチアンス(一問多答)が出てくるのに」
「何や、そんに苦手なんか?」
「予選第一セットに出たら、『おちる』って思うぐらい……」
「そら、相当やな」
 ラスクのゲンナリとした態度から、属(ジャンル)に対する苦手意識よりも、種(カテゴリー)に対する苦手意識を強くもっているように、タイガにはみてとれた。
「別に、降(お)ちてもホビットだから、すぐに戻れるけど……」
「随分大きく出るやないか?」
「恥ずかしいんだよね……なんとなく」
 苦笑いを浮かべてのラスクの言葉に、気持ちを和らげるつもりで、タイガは、以前にユリから聞かされた戦績の話を持ち出した。
「ユリは、何度か降(お)ちとったはずやぞ?」
「つまんないって、言ってたじゃない」
「よう覚えとるな」
「降(お)ちたことがないから判んないけど」
 「認定が降りなかった」と地団駄をふむ生徒をタイガは見たことがある。彼自身、在籍はしているものの、トーナメントに顔を出さないたちなので、称号昇格の速度は、他の生徒たちに比べると遅い。そのために、彼らの悔しさを理解することができない、と割り切っている。
「まぁ、気楽にいっとけや。Take it easyって言うやろ」
「……そう、だね。よし」
「気合い入ってきたな?」
「ユリさんに言っといて、近いうちに追いつくから、って」
「気をつけてな」
「わかった」

To be continued...-> 『ラスク・Pre-Expert #3』