『皆の往く途・歩く途』#47

なんか、どんどん長くなってないか?
一番最初の境界線が、49話。次のユリが魔導士に昇格する話は、16話。ラスクの魔導士昇格話が、44話。最後の二人の賢徒昇格話が、63話。
……一番長くなる、可能性が出てきたな。賢徒昇格話は、最後駆け足になったから。


えーっと、とっかかりは、2/19。ヘッダというか、トップにリンク張ってあるから、今のところは、張らない。
とうとう六つ目……

んでは、本文。

直前#8

<-『直前#7』

「よ」
「あ、タイガさん」
「一通り準備がすんだんでな」
 と、自分が迎えに来たと、言外に含めてタイガが答えた。
「まぁ、ルキアから或る程度話は聞いとると思うけど」「しないわけにはいかないんでしょうね」
 タイガの言葉が終わるのを待たずに、クリスが言葉を受ける。
 その言葉を聞いて、申し訳ないと思ったのか、タイガが合掌しつつ謝罪の様子を見せる。
「構いませんよ。今回のようなことが無くても、お嬢様と、冬至祭をすることになっていたでしょうから」
 と、微笑みながらも、説明めいた言葉でタイガにクリスがタイガに答える。
「それならええんやけど……」
「?」
 言葉を濁したようなタイガの様子に、クリスも思わず疑問符を浮かべてしまう。
「あんな、ラスクらは居る?」
「ええ。ずっと待ってましたよ?」
「それやったら、耳貸して欲しいんやけど」
 とのタイガの言葉に、クリスは疑いも持たずに耳を近付けた。
「――で、――を――」
「それなら、もう準備してありますよ」
 タイガの耳打ちに、もう準備済みと答えると、答えられたタイガのほうが、
「……手回し、ええんやな」
 と、呆気に取られてしまっていた。

「ラスク〜、ユリ〜、ンじゃ、行こ……」
 と、クリスに促されて購買部に足を踏み入れたタイガは、思わず、きょとんとしてしまう。
 ユリとラスクが隣り合っているのは、こういう場面であるならば、目立っておかしい部分はない。が、ラスクの腰の辺りで、胴回りをぐるりと巻いている――縛っている、との表現の方が正しいのかも知れない――リボンが、ユリの手に握られているところが、明らかに異常なのだ。
「どないしたんや、この有り様は?」
「見ての通り」
 少々不機嫌さを混ぜて、ユリがタイガの質問に答える。
「もう行かないってば」
「心配させる前例を作ったラスクが悪いネ」
 と、ラスクの弁解とヤンヤンの言葉で、タイガは、ラスクがなにをしようとしたのか、おおよそ掴めたような気がした。
「お前さんが心配させたんは、事実やから仕方ないわな」
 と、苦笑いを浮かべて、タイガがラスクに諭すように言葉をかけていた。ヤンヤンの批難と、タイガの言葉に、反省するべき部分が有ることを理解していたのか、ラスクも、
「それは、判ってるんだけど……」
 と、しゅんとしていた。


 ラスクを肩車に乗せたタイガの左側に、ヤンヤンが、そして、その反対側に、荷物を一つ携えたクリスとユリが並んで、会場となる教室に向かって移動していた。
 その道中で、ユリは、クリスが携えている荷物の正体が気になった。
「ねぇ、クリス?」
「なんですか?」
「出てくるときから、気になっていたんだけどさ、その袋の中、なにが入ってるの?」
「内緒ですよ」
 と、含みを持たせた笑みで、ユリの質問に答える。
「それで」「んな、気にするようなもんでも無いって。なぁ、ラスク?」
 さすがに、クリスの返答では納得できなかったのかユリも、食い下がろうとするのだが、それを遮るようにタイガが口を挟む。彼の頭上では、突然話題を振られたラスクが、どう答えたものかと、あたふたしていた。

To be continued... -> 『祝宴#1』
コメント投げるまでもねーな、と思うけど、って人は、こっちの拍手から。

ダベリ

最初は、冬至祭に取りかかるパートタイトルにしようかと思っていたんだけど、それだと、流れが少々綺麗じゃなくなるので、ちょっと、いろいろ意識して、パートを切り替えるのは、延期って事にした。
蛇足って事もないと思うんだけど、まぁ……書いておきたかったシーンでさ。
タイガが、ラスクを肩車してるってのも、アリなんじゃないかなぁ、とかね。
ちょっと、願望に走りましたよ。ええ(笑)。
だって、サンダースとアロエの組み合わせだったら、タイガとラスクでしょ?(なんで?)
ユリラスだと、ユリのポニーテールをどうするのかって問題もあるしさ。

さてと。次に書きたい場面は……当初の予定とは大きく変わったんだよなぁ。もう、七〇度ぐらいずれた方向性に。
そんな感じで、今週はこれにて。続きは、また月曜日。