『皆の往く途・歩く途』#01

帰ってきたよ、悪い癖(苦笑)。
夜中に、さっさとこれだけ更新して、翌日に入っての更新が、一気に遅くなる。って、とんでもない習性が。



さて、今日から、弁解SSを始めるわけだけど、いろいろと、公式設定を無視していることを、お忘れ無きよう。だってさ、この弁解SSの土台作ったの、今から、1年近く前の事よ?
まださ、リエルが、不確定名・「メイ子」って呼ばれてた時代なんだから。

ま、そんな与太話はこれぐらいにして。
ンじゃ、本文でも。

姉の決意、老師の決断、導師の決心#1

「お嬢様?」
「急に改まって?」
「商業学部に対して、保留していた入学権利を行使しようと思っているんですけど」
 クリスにしてみれば、その申し出は、弟が賢徒に到達したことを受けて、常々考えていたことを実行に移す時が来たと判断し、その事をシャロンに告げただけのことでしかない。のだが、それを受けた彼女にしてみれば、それは、静天の霹靂とも言える言葉だった。
「商業学部?」
 クリスの突然の申し出に、シャロンは、オウム返しで答えるしかできなかった。
「はい」
 眉一つ動かすことなく、真正面からシャロンを見つめて、クリスは答える。
「……どうして?!」
 とシャロンに問われて、クリスも、「何が?」と言いたげに顔を傾ける。
「賢者を諦めるとでも言うの?!」
「別に、商業を選んだからと言って、賢者への道が閉ざされるわけでもありませんよね?」
 と切り返され、シャロンも、頷くしかできなかった。が、その一方で、シャロンは、クリスの決意の先に、自身の名前の封印が有ることを思い出し、その事で問い詰めようとするのだが、
「でも、それじゃ、誰がエンライトンの名前……ぁ」
 彼女が受け継いだ名前は、その弟、ラスクが受け継いだ名前でもあり、また、その封印は、彼が賢徒に昇格したことで解除されたことを思い出したのだ。
「ラスクがいますし、私の名前は、場合によっては返上するかもしれませんからね」
「それを言ったら、ラスクが返上する」
 と言い掛けたシャロンの言葉がとまった。今、彼の傍にいる少女が名乗っている名前を思い出したからだ。
「……とは考えにくいですわね」
 寂しそうな声で、シャロンの言葉が続く。
 できることなら、自分と同じ総合学部の後輩として迎え、付き合っていきたかった。が、今の自分に、彼女を思いとどまらせるだけの材料が無いこと、そして、自分がかけるべき言葉が、一つしかないこと、に気付かされる。
「判りましたわ。でも、クリス。貴女は、エンライトン夫妻の忘れ形見。その事だけは忘れないで?」
「何時でもいいから、賢者を目指せ。そう言うことですね?」
 弟ラスクと同じように自分の言いたいことを先回りするのは、賢者だった両親の影響なのか、と問いたくもなるのだが、それ以前に、頷くのが得策のようにシャロンには思えた。
「ええ」
「ですね。父さん達に肩を並べない限り、『エンライトン』を名乗れなくなりますからね」
「いずれ返上するときが来るとしても、それまでを、『Enl』の名で過ごすのは、私が許しませんから」
「可能な限り、励みます」
 と答えると、クリスは、シャロンに恭しく頭を下げた。

To be continued... -> 『姉の決意、老師の決断、導師の決心#2』

ダベリ

さてと。
拙作『境界線』シリーズに、お付き合いいただいた方々。3週間振りにございます。
「どんな言い訳が出てくるのだろう?」と興味津々の方々、お初にお目に掛かります。
不肖、冬崎秀明。本日より、調子こいて、5つ目の物語を綴っていこうかと、思います。

さてさて。このパートタイトル『姉の決意、老師の決断、導師の決心』。これを見て、初めて、俺が描く世界に触れた方々は、サツキのことかと思われたかもしれません。ついでに、「クリス? って、あんた、誰?」と思われたやもしれません。ここでは、一つ。公式設定に目を瞑り、クリスと呼ばれている少女は、リエルことだと受け入れていただけますと、これ幸い。
『境界線』シリーズを読んでいた方々なら、誰のことを謳っているのか、有る程度予想がついているやもしれませんな。

まぁ、無粋な口上は、これぐらいにして。
もともと、独自の解釈で構築したのが、『境界線』シリーズでございます。アカデミーの中には、賢徒の号を授かってアカデミーを巣立ちながらも、志半ばで斃れた者達の名が刻まれる碑があり、賢徒の号を授かれば、アカデミーからの通達で、購買部から支給される白服を着ることができるようになる、などのぐあいに。
昇格話として綴ってきた『境界線』シリーズも、メインに据えた二人が、『越境〜光もたらすものと標星〜』において賢徒号を授かったことで、一通り、やり尽くしたとも考えました。それだけでなく、『境界線』シリーズと銘打った四編の物語の発端、シリーズタイトルとした『境界線』を書いていた時期に、感情的に、グズグズになることに遭遇してしまい、3の終了と共に、QMAでの二次創作からも、手を引こう、とも思っていたんですが、気持ちを切り替え、3の稼動期間も大詰めとなった1月下旬。『越境』の中で、ラスクに語らせた言葉を、もう一度自分に言い聞かせ、忘れ物を取りに行くために、4に舞い戻ってまいりました。

この物語は、こうして舞い戻ったQMA4において、また、何かをやろうと思ったときのための予防線です。正直なことを言えば。
さて、今回の物語。前作『越境』の時とは異なり、時間に追われているわけではありません。ので、『越境』以前の三作品と同じく、月〜金更新に戻し、土日の更新は、いつものように、最終週だけ、と言う方向に。

正直なことを言えば、独自解釈で好き放題に組み立てた物語を、公式設定に関係する部分がいろいろと追加された4とのすりあわせがこの話の目的。なので、あまり面白くないかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると、幸いです。

では、使い古された言葉をもう一度呼び起こして、今日は、締めくくりたいと思います。
『今日はここまで。続きは、また明日』