もしも……?

はい妄想妄想。

 ゆらゆらと揺れる灯りが、ラスクの部屋への夜の侵食を遮っている。
「……眠れないよ」
 広くはないベッドの中で、ラスクは姿勢を変えようとしたが、今、姿勢を変えると、いやでも、ユリの姿が視界に飛び込んできそうな気がして、結局止めた。
「ちょっと、早まっちゃった……かな?」
 と、軽く後悔。
 ようやく決心して、言い出して、実行したファーストキスに続いたのは、返礼というには、少々……いや、かなり刺激の強いユリの「洗礼」であり、「洗礼」が終わった後は、パジャマへの着替えを急かせるわ、着替えが終われば、引きずるように、連行するわで、すっかりペースを乱されていた。
「まさか、あんなことされるとは思ってなかったし……」
 と、つぶやくと、思わず、自分の唇に指を伸ばしてしまう。まだ、「返礼」の余韻が残っているような気がしたからだ。

「そうだ、灯りを消せば良いんだよ。どうして気付かなかったんだろ?」
 一応、消すべき灯りのほとんどは、ラスクをベッドに連行する際に、彼女が消していたが、肝心の灯りは、『何かはかりごとをしているかのように』消さないまま、一方的に「おやすみ」と言い放って、睡魔の虜になっていた。
 ベッドを抜け出して、灯りを消しに向かった。一応、彼女のはかりごとがなんなのか考えないようにして。
 それまで、灯りに遮られていた夜が、月の明かりを伴って、濃藍色で彼の部屋を満たした。なんとなく、その色を見て、ラスクは、ユリの制服の色を連想してしまった。
 元々、デザイン自体が異なっている、サンダースやタイガ、マラリヤのそれとは違い、ユリが着ている制服は、その土台となるデザインが、ルキアシャロン達が着ている物とほとんど変わっていない。変わっているとすれば、胸元が詰められて、ルキアほどの大きさはないにしろ、美しいと言える胸の形を強調していること、ノースリーブであること、トップスの丈が短いこと。そして、今、彼の部屋を満たす、夜の色で染め上げられていることだろう。
 灯りを消して、濃藍色の部屋の中を、ベッドに向かって歩く。
 春、と呼ぶには冷たい空気は、ラスクをちょっとだけ現実に引き戻してくれているように思えた。
「ふにゅ? らすく? らーすーくー?」
 一緒にベッドに入っているはずの彼が居なくなったことに気がついたのか、寝ぼけたような声でユリが、ラスクを呼んだ。
「ユリが消さなかったから、僕が消すはめになったのに」
 と、愚痴を言いたくなったが、寝坊相手にそんなことを言っても始まらない。だから、でかかった愚痴を飲み下し、はいはいと応えてラスクは、部屋の主よりも堂々と横たえているユリの傍に、潜り込んだ。
「ほんもの〜 ほんものらすく〜」
 彼女を極力冷やすまいとのラスクの気遣いは功を奏したようで、気分を害した様子はなかった。が、意味不明なことをユリは口走っている。
――どっちが年上なんだか、判んな……っ?!? □◎★⊿∀§ξろ
 ラスクの存在を確認すると、いきなり、彼女が後ろから抱きついてきたのだ。
――お、落ちつかなきゃ。え、えーっと……素数を数える? ダメ。アレ面倒くさいから。7-2不合格だから、やり直し? ……何それ? デストロイザコア? わ、ワケ判んないよ! ↑↑↓↓←→←→BAでワーイフル装備……ってもっと違う!
 必死に落ち着きを取り戻そうとするが、背中に伝わる彼女のぬくもりと、耳元に当たる規則正しい寝息。それらが、ラスクの努力を徒労に変えていた。
――りぐるんは、ちるのとなかよしで……って、なにそれー?! あ、あれ?
 とは言え、ラスクは、自分の身に起ころうとしている異変に感付いてしまった。
――ユ、ユリの力が強くなって……!? く、くるしい……


「くひひ。もう食べられにゃいのにゃぁ」
 幸せそうなユリの寝言とは裏腹に、ラスクは、自分が、できれば理解したくない状況に置かれていることを理解してしまっていた。
――僕は、枕じゃ、な、い……

きっかけは、アクセスされたURLは変更されました(ネタ元は、言うまでもなく、ぽじカン)。
はい、立派にオチましたね。(マテ
最後の「枕じゃない」って部分では、予習不合格時の雷が落ちる前のラスクの表情を思い浮かべると、どういう状況なのか、ますます判りやすいですね。

けど、件のblogの06/04/03分の絵を見てると……ちょっと邪な部分が洗い流されそうな感じですね。マジで幸せそうなんだもの。
ま、完全に、そういう部分が洗い流されなかったのは、ラスクに抱きついてる、って部分でも明らか*1なわけで。

しかし、採り上げられないからって、好き放題やり過ぎじゃねーかな?
ちと、自重する方が良いような気がしてきたよ?

*1:ふゆざきは、ユリ×ラス推しです。……ちょっと、病んでないか?(汗)