さてと……上げるよ。

今週は、休むかどうか考えたんだけどさ。読みたい、って人が居たから、上げるだよ。
タイトルも、このまま『境界線』で決めるかね。
ラスクにとっての境界線。魔術士として認められるかいなかの境界線。時と気構えを改めるための境界線……
ラスクの前にはさ、いろんな境界線が横たわってて、それを上級に昇格する、って一つのイベントで、一気にまたいで行かなければならなくなった、ってことで。

では、いつもの。
大まかなおさらいは、00年02月01日に。話の頭自体は、今年の5月1日から。このブロックの先頭は、7月12日から。

貴女(ユリ)じゃなきゃ#4

<-『貴女(ユリ)じゃなきゃ#3』

 ラスクを送り出したクリスが、のぞき込むような素振りを見せながら、
「それじゃ、ユリさん。こちらに来てくれますか?」
 と呼びかける。
 心の準備をしていなかったユリにしてみれば、虚をつかれた格好になったわけだが、すぐに気持ちを切り替えると、
「判った。後、ラスク。勝手に帰ったらダメだよ?」
「判ってるって」

 ユリを、ドレッシングルームに招き入れると、「何処にしまったかな」と呟きながら、クリスが書類の様に見える紙の束を引っかき回し始める。
 その姿を見て、ユリは、確かに、ラスクとクリスが姉弟であると実感した。あまりに、その資料を繰る姿が似ていたからだ。
「本当に、姉弟なんだね」
「フィギュアを渡したときに、そう言いましたよ?」
「あの時は、何か実感湧かなくてさ」
「こっちの準備は出来ましたから、ユリさんも準備してくれますか?」
 と、ユリに採寸の準備を整えるように促した。

「何か、変な感じしない?」
 とは、ユリの率直な感想だったが、
「どうしてです?」
 と、クリスに素っ気なくかえされ、なんとなく気恥ずかしい気分にさせられてしまった。
――弟は、あんなに空気読むって言うのに……
 と愚痴の一つもこぼしたくなってしまう。
「弟のものには、手を出すつもりありませんし、私には、その趣味ありませんから」
 と、ユリの心情を見透かすような言葉を静かに打ち込んできた。
「ちょっと! 人をもの扱いしないでよ!」
「でも、私に言わせれば、ラスクは、ユリさんのものですよ」
 と、かえされて、ようやくラスクが「もの扱いするな」、と告げた理由を理解し、同時に、やりにくさに、軽くむくれてしまう。
――むー……あの弟にして、この姉ありって事?
「できれば、余りからかって欲しくないんですけど…… って、事よりも、心配事、あるんですか?」
 ユリがむくれていることなど気にかけずに、クリスが問いかける様に句切り、
「ラスクのことで」
 と続ける。まるで、見透かすような静かなクリスの言葉に、
「なんでラスクのことだって言えるのよ?」
 と強がってみせるが、
「だったら、即決してもおかしくなかったですよね?」
 と、クリスにかえされてしまった。降参と言わんばかりに、肩をすくめて溜息をついて、ユリが応える。
「やってらんないなぁ。ほんとに」
「やっぱり」
 と、微笑みを浮かべて、ユリの言葉にクリスが答えた。
「ラスクが、昇格決めたときのトーナメントでの戦い見てたらさ……私なんかで良かったのかな、って」
「そんなことですか」
 一時はねじ伏せたものの、どうしてもぬぐい去れない不安を口にしたのに、「なんて事無い」と返されたように感じてしまい、荒げる声が出てしまった。
「何よ、そのかえし!?」
「ラスク言ってましたよ。褒められたの初めてだったから、ものすごく嬉しかったって」
 イラだつようなユリの言葉に怯むことなく、クリスは、ラスクの言葉を口にした。
「ほめてなんてないわ。思ったままを言っただけよ」

To be continued... -> 『貴女(ユリ)じゃなきゃ#5』

今日のあとがき(ダベリとも言う)

昨日は、ラスクの採寸でした。今日は、ユリの採寸です。
どんな格好で採寸してるのかは……俺、男子だから良くわかんなーい(カエレ!)

冗談はさておき。

ラスクの採寸ってさ、もう少し後でもよくね? まださ、100戦以上場数踏まなきゃ行けないんだからさ。後から、後悔してる*1よ……まじな話で。
ユリの採寸は、まだ納得いくのよ。替え、つまり、予備を準備するためだからさ。
……って、俺がこんなこと言ってたらいかんか(汗)。
まぁ……最終ブロックは、意外とお姉ちゃんが活躍しそうな雰囲気ですよ?

*1:先んじて後悔できたら、すげーよな(笑)