一日遅れの……

また、最初期稿と流れ変わっちまったよ。
思ったより、強いんでやんの。うっとこのラスク。
さてさて、毎度のように。
この話の先頭は、5/1。このブロックの先頭は、5/10から。
んでは、本文をどぞ。

Break the Wall #6

<-『Break the Wall #5』
「まったく……」
 呆れるようなぼやきが、購買部に響き渡る。

 購買部に駆け込んでくると、それまでこらえていた感情が、全て弾けたのか、堰を切ったかのようにラスクが泣きじゃくりはじめたのだ。
「無理できなかったのなら、ここまでこずにユリさんのところで泣いてくれば良かったのに」
 諫めるようなクリスの言葉に、「だって」だけを繰り返してラスクが応える。

 何度目の溜息だろう。
「取り敢えず、涙は拭きなさい」
 小さく溜息を吐くと、クリスはハンカチをラスクに渡した。そのままにしていると、折り返している制服の袖で、顔を拭きそうな勢いだったからだ。
 おずおずと差し出されたハンカチを受け取ると、ラスクは乱雑に涙を拭き始めた。彼自身も、いい加減泣きやむべきだと、思い始めているのだろう。
「ラスクが、どんなに認めたくなくても、父さん達が……死んだことに変わりはないの。『賢徒の碑』の仕掛けは、ね……残酷だけど、あれほど優しいモノはないのよ。それぐらい、ラスクも判っているでしょ?」
 自分たちが、賢徒の碑に足を運んでいることで、レオンに詰め寄られた、と言う話は、シャロン伝いで、彼女の耳にも入っている。
 どうして、詰め寄られることになったのか理解していたのだろう。その事を指摘されたラスクも、渋々頷いた。
「それにね、ラスク。あなた、もう少し自分の選択に自信を持ちなさい。今は、良いかもしれないけど、いつまでも背伸びをしていると、自分が苦しくなるだけよ?」
 図星だったのか、ラスクの動きが一瞬止まった。
「それに、もうすぐ、旦那様と同じ上級号を授かろうって魔術士が、自分が好きになった人の前で泣けないから、って、こんなところまで逃げ込んできて。それも、どう?」
「逃げてきたんじゃ、ないもん」
 弱々しく反論したラスクに、クリスの声が飛ぶ。
「じゃ、どうして、ここにいるの?」
「僕の方が、肩書きが下だから」
 ラスクの返答に、クリスは溜息で答える。
「ここは、肩書きだけで、実力の測られるところ?」
 言葉では応えずに、頭を振るという動作でラスクが応える。
「だとしたら、ラスクがここで泣いてるのは、応えてくれたユリさんにも失礼じゃない?」
「上級になったら、上級になったって報告が済んだら」
 しゃくり上げながらのラスクの言葉に、決意めいたモノを感じ取ったからか、頷きながらクリスが言葉を返した。
「それ、嘘じゃないのね?」
 穏やかな彼女の言葉に、ラスクはコクリと頷いて応えた。
「わかった。なら、落ち着くまではここにいなさい。で、落ち着いたら……」
 言葉をきり、深呼吸。
「行ってらっしゃい。全力で、勝ち取ってきなさい」


「そうそう。行くときは、顔を洗ってからにしなさいね。男の子なんだから、ちゃんと身だしなみを整えて。ね」

To be continued...-> 『幕間#2・昨夜聞かされたこと#1』

えーっと……正直言うと、昇格までを書くつもりで居たから、『Break the Wall』ってサブタイトル付けてたんだけど……いざ蓋を開けてみると……まぁ、こんな調子ですわ。
次のサブタイトルが決まっていない*1のは、話の流れる方向を変える意味があるから。

しかし、最初期稿を作ったはずのここまでの流れが、最初期稿とは違う方向に流れるとは……問題抱え過ぎじゃねーか? 俺。orz

*1:18日の記載を行うまで、ここは『未定』となっていました。