#16・『境界越しの約束』

ってかさ、『境界線』並のイベントを引き起こすのは、今回は、ちと無理があるって話もちらほら(苦笑)。
大まかなおさらいは、00年02月02日。で、話の頭は、8/7。
本日を以て、『境界越しの約束〜ぼくも行くから、そこ(ペガサス)で待ってて』終了にございます。

境界越しの約束

<-『魔(大いなる力)を導く士(もの)として#6』

 それから数日後。

「ごめーん、ラスク。約束守れないかも知れない」
 ラスクたちと合流するなり、ユリの口から飛び出したのは、謝罪の言葉だった。
 ユリの謝罪の言葉に、一瞬ラスクが理解できないという表情を覗かせるが、すぐに、何を言っているのか理解したらしく、応答の言葉を投げ返す。
「あのことなら、そんなに気にしなくても良いのに」
「良くないの! ラスクの目標になれなきゃ、魔導士の称号持ってても意味ないんだから!」
「ぼくも、エルフ落ちしたしさ…… それに、ペガサスがどんなところかよく判ったから」
「そんな弱気で」「弱気だからじゃないよ」
 ユリの言葉を遮るように、ラスクが反論の声を投げ返す。ラスクの反論が予想外だったのか、きょとんとした表情をユリが覗かせる。
「賢者を向こうに回して、踏み台にしていくって事だもの。ペガサスに留まるって。ユリが居た、そして、ぼくが居る、ユニコーンとはワケが違うって、よく判ったし……そこから振り落とされている賢者が、どういう存在なのかも、よく判ったから」
「結構言うやないか」
 水を差すように、タイガが言葉を差し挟むが、ラスクもユリも、その事に何かを言うつもりはないようだった。
「だから、帰ってこないでってのは無し。替わりに、ペガサスとユニコーンでスパイラルしてもめげたり、しょげたりしないって」
「スパイラルぐらい慣れっこだもの。それぐらい、おやすいごよう!」
 と、まるで撃破に成功したときのようなポーズでラスクの言葉にユリは応えた。
 自分から言っておきながら、『約束』を撤回してしまい、彼女の機嫌を損ねてしまったのかと思っていたラスクは、そうではない彼女の様子に、安堵したように、そして、ちょっと照れくさそうに、言葉を続けた。
「でさ…… ぼくが、魔導士号を受けるとき、ペガサスで待っててくれる?」
「え? それって……」
 自分が魔導士号を授かった日の、ラスクとのやりとりを思い出したのか、ユリの表情が和らいだ物に変わる。
「ユリに相応しい魔導士になれるように努力するのって……ユリを目標にしてる、って事にならない……かな?」
 と、ラスクに言葉を続けられてしまい、抱擁と応援以外に返せるものが無くなってしまった、とユリは感じていた。
「ラスク、おいで」
「え?」
 ユリの言葉の瞬時に理解できなかったのか、戸惑ったような表情を浮かべて、ラスクがユリに近づいた。
 彼女の両腕が、ラスクの首に巻き付いて、彼に空を仰がせる。
「なるよ。それだけでもじゅうぶんだから。私も、頑張るからね。ラスクとの約束を果たせるように」
 そんな二人にあてられたのか、取り残される格好になっていたタイガが、二人にぼやいた。
「えーっと、お二人さん? お熱いところ見してくれるのはかまへんのやけど…… 俺が居てること忘れてほしないんやけど」

this story is finished.

ダベリ

最後のパート。
まぁ……なんだ。蛇足に感じてる人もいるかも知れないし、「てめえ、何手ぇ抜いてやがんだ、このやろう」って人も居るかも知れないねぇ。
とはいうものの、あの小咄を改変して、完結用の場面としないと、いろいろしっくり来ないところも有るかもしれないと思ったからさ。
しかし、あれだ……
前口上、締め口上を述べ上げる余裕すら、今なくしているわけで……体力的にも、精神的にも、なんか限界が近い感じ。
夏場は苦手なり…… 早く涼しくなってくれないもんかね?

でも、まぁ、肩の荷が一つ下りたよ。これでね。後は……ラスクの魔導昇格話をやって……もう一つ、ラスクの賢者昇格までやって、終わりかな。昇格絡みの一連は。間に合うかどうかは別問題としてな。
最悪、ラスクは捏造になる可能性があるのか……ま、それはそれで仕方ないか。