勝ったところで、複雑な気持ちになることも多いわけでさ。

ラスク:
 羨ましいな、ユニにいても、勝てたら喜べるって……
タイガ:
 ええんとちゃうか? それで。
 お前さんは、留まれへんことを許せへんとしても、勝てて悪い気はせーへんやろ?
 それに、ユリとの約束、変えとったよな?
 「スパイラルしても、めげたりしょげたりするな」、って。
ラスク:
 うん……
タイガ:
 なら、言い出しっぺのお前さんが、めげたりしょげたりしてどうすんねん?
 っていうても、あいつには、関係ないやろうけどな。
ラスク:
 ……なんで?
タイガ:
 お前さんとの『約束』が大事なんや。あ゛、でもな、お前さんがどうでもええってわけやないぞ?
 お前さんが、自分のこと許せんかっても、俺らは、お前さんのそばに居る。お前さんが、イヤや言うてもな。
 それとな、親父さんらと、自分を一緒にすんな。お前さんはお前さんなんやから。
――そう言うと、タイガはラスクの髪をくしゃくしゃと引っかき回した。