こいつは俺も予想外。

長いから、折っとくよ。

無題。

「そんなに見て・・ラスク、ほしいの?これ」
 自分をじっと見つめる視線に気付いたユリは、アイスキャンディを振りながら、ラスクに問いかけていた。
――確か、ラスクったら、あわててたんだよね。可愛かったなぁ。
 と、思い返したのだが、続いたラスクの言葉は違っていた。
「うごかないで。」
 まるで別人のようなラスクに先手をとられてしまったような気がして、ユリは驚いていた。
――え? え? なになに? そんなに真剣な顔して。
 ラスクが身を乗り出してくる。その唇から、幼い舌が顔を覗かせる。
――も、もしかして、私を……ひゃうっ!?

 ラスクに頬をなめられた、と思った瞬間……目が覚めた。
 濃藍色の世界の中、目の前には、動かないラスクの寝顔がある。今の状況を理解しようと、寝ぼけた頭を総動員する。

 ここは、自分の部屋。
 時は、折しも、公開演錬会(フェスティバル)の迫った準備期間。互いに、互いの部屋が遠くに感じる時期だ。
 フェスティバルというのは、読んで字の如く、日頃の修練の成果のみを武器に、皆が互いに競い合う、魔導演舞会と言ったところだろう。賢者相当以上の学生にとっては、このフェスティバルでの結果が、称号に影響する、とのことだが、今の彼女たちのように、「賢者候補生」と言うべき段階では、このフェスティバルの結果は、彼らの評価階級、いや称号に影響することはない。
 そのために、どちらかと言えば、お祭り騒ぎのような様相を呈することが多いのだが、そんな中にあっても、ラスクとユリの二人は、互いを敵と見なして、全力でぶつかり合うことにしている。そうしないと、自分たちが知り合えた、この事実を汚すような気がしたからだ。
 だから、敢えて、ふたりとも、互いに相手を誘おうとはしない。

「……夢かぁ。早く終わんないかなぁ、」
 と、抱き枕につぶやく。が、枕が応えるはずがない。濃藍色の空気に、呟きが溶けていくと、あとはよりさみしく感じさせる沈黙が残るだけ。
「あんな夢見ちゃったから…… さみしいよぉ、らすく……」
 枕に顔を埋めて、ユリはちょっと、泣くことにした。

……どうした、俺?
おかしい。夢落ちは夢落ちでも、ダダアマ予定の筈だったのに。orz
えっと、今回も、らおう様からネタ(「わんこラスク」)をいただきまして。そっから膨らませていったら……
こんな、書いた本人も予想外な話になってしまったり。
BGMの影響かなぁ? ちなみに、今回の作業BGMは、「Time Limit」(illumina)。普段は、TMとかaxsとかをBGMにしてるんだけど、なんとなく、気分を変えたくなって、これにしたら……こんな話になってしまいました。

ん〜……これはこれで有りかな。
ただ、あまりの予想外な展開に、タイトル付けられなくなってしまったり……
どうしよ、これ……タイトル。

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