そう言えばさ、B24まで一通り、地図を書き終えてからB21の『アレ』を使えるようにしたのって……
俺ぐらいなんだろうなぁ。
金鹿の酒場にて
「僕たちの選択、正しかったのかな?」 卵のような『何か』を抱いて、ラスクがポツリとつぶやいた。 「『瘴気』が『謎』を生み、『謎』が『瘴気』を生む。二人がいたのは、そう言う世界だったか」 確かめるように、アトリウスは自分以外の四人に問いかける。と、ユリとラスクの二人が無言で頷いて答える。アトリウスの質問と、それに答える二人の様子に、居心地が悪そうに、エリアルが席を立った。 「ごめんなさい……」 席を立ったエリアルを、不安そうな表情で追うラスクに、ティターニアが代わりに謝っていた。 「私とエリアルの二人は、『謎を解き明かす必要のない』世界にいたから」 続いたティターニアの言葉に、二人は言葉を漏らさずに驚くことで答えた。 「賢者候補には、まだ荷が重い話かも知れないぞ、ティターニア」 自分たちの『生まれた』世界について語るティターニアに釘を刺すように、エリアルが言葉をかけた。三人の注意が自分に注がれたことに気がつくと、エリアルは、窓の外を眺めながら、 「あんな形で、冒険者の口を封じる必要など無かったんだ」 嘆くようにぼやいた。 「あんなことしなくても……」 「それでも、エリアル。ああしないと……」 「いや、もう、『最初の世界樹』は寿命に達していたのかも知れない」 かばうようなティターニアの言葉を、アトリウスが遮った。 「でも、不老不……ぁ……」 その言葉を前衛で聴いていたユリが、反論しようとしたが、その反論が覆される現実があることに思い至った。 「そう。『死』があると言うことは、それを補うシステムが、必ず存在する。もしかすると、ラスクが抱いている、『それ』。以前に、十階や十八階で見かけた奴と関係があるのかもしれない」 ユリが見せた表情に、我が意を得たり、との表情でアトリウスが皆に言葉をかける。 「ラスク。それは、もう『形見』なんて感傷に浸る為のモノじゃない。シリカと、彼女の工房の職人達に任せよう」 「でも……」 名残惜しそうに、というよりは、葛藤しているような様子で、ラスクは、自分が抱きかかえている『何か』に目を落とす。 「大丈夫。私たちの装備自体、この世界樹の迷宮の恵みなんだから」 迷っているラスクの背を押すように、ティターニアが言葉をかける。 と、そんな二人の様子で、思い出したことがあったのか、心配そうにユリがつぶやいた。 「あの子、どうしてるのかな……」 ユリが言う『あの子』とは、第四階層を踏破した時、黄金の翼を力なく横たえた骸の傍で、小さい背中をますます小さくさせて、彼らに向かう途を示した、少女のことだ。その事を理解したからだろう。エリアルが噛みしめるように言葉を返した。 「俺たちに、無理に挑み掛かってくることはないと思うが……」 奥歯に物が挟まるような言い回しをするエリアルの様子に、心当たりがあったからなのか、アトリウスが意を酌んだり、と言いたげに言葉を続ける。 「気に掛かるのが、一件あったな」 「女将さん。その七階から、少女の声が聞こえてくるって話。詳しく聴かせて」 ティターニアの決断を待たずに、ユリは、女将にアトリウスが気に掛かると評した依頼のことを聞き始めていた。
初日のRunnerすら終わってないってのに、Runnerの冒険は、一つの峠を越してみたり。
まぁ、「ええから、続きをとっとと書きやがれ」ってな催促が一切無かったんで、そのまま放置してるってのもあるけどね。(サイアクダ
それから、ラスクの一人称。あえて、漢字にしてみました。
ま、エトリアでいろいろ経験して、それが成長に繋がった感じでね。
でも、あの依頼はなぁ……B7が、もう、泣きそうになったことを思い出したり。
次は、どんな場面を書くのか、ちと考えんとね。