10階歩いてるとさ、「蜂がぁ! 火蜂がぁ! 火蜂が群で襲いかかってくるぅ!」な気分になるわけよ。
まぁ、サソリに後れをとることはないんだけどさ。
あっちのサソリに比べたら、こっちのサソリなんて、ねぇ?
アトリウスさんの日記から抜粋
俺自身、いや、俺たち全員、何処かで迷宮の探索を甘く見ていたのかも知れない。 数多の冒険者を屠ったという奴の、本当の恐ろしさを知らなかった。 普段の探索でも、俺以外の四人の攻撃力と言うか、火力は凄まじく、大抵の魔物なら、最初の一撃でカタを付けてしまっていた。おそらく、その事が油断を招いてしまっていたのだろう。 確かに、あの時、ラスクは、奴の弱点を探すために、ユリとの連係を外していた。 そして、三つ目。ラスクが最も得意とする属性術式を起動させようとした刹那。奴の目が鈍く光った。 あの時は、くまなく駆けずり回っていたおかげで、すぐさま対策を取れるアイテムがあったので救われていたが、いくら、リザレクションを修得しているとは言っても、隊列を越えて攻撃をしてくる事もある相手の前で使うほどの度胸はない。 これから先、新しい階層に赴くことになるのだ。また気持ちを引き締めていかない……と思っていた矢先に、ラスクの口から出たのは、「カエルには氷の術式だよね」とか、何かを間違えているような事。 ……前衛の面々は、もう何も気にしていないようだが、俺が間違えているんだろうか。 全く、どこの氷精の真似をするようになったんだ。本当に。
どうでも良い小ネタを入れることだけは忘れない今日この頃……
一応、ネタバレになりそうな部分は無いとは思うんだけど、ねぇ……
イヤ、それは普通にネタバレでしょ? って思ったら、適当にツッコミ入れてやってください。