異端児の居場所って……本当に無いよな。
マッカーサーは、巧くいったもんだ。「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」って。
スタートは、06/12/04。おさらいは、いつも、と言うか、毎度のように00年2月4日に。
このセクションは、三が日の最終日、1/3から。
ところで、第1話へのリンクって……必要?
では、本文。
To the BORDER, It is 1 step more.#6
<- 『To the BORDER, It is 1 step more.#5』 「ラスク」 「何?」 タイガの真剣な呼びかけに、ラスクもつられて緊張してしまう。 「俺らもな、正直言うたら不安やってん。……いや、ユリの方が、大きい不安を抱えとったんかもしれん」 タイガの静けさが伝わったのか、真剣な面持ちで、ラスクも、彼の言葉に耳を傾けている。 「なんせ、力も技も、通用せん相手が居って、ボコボコにされるでもなく、まるでダンスかなんかの相手をするように、あしらわれたんやからな」 飛び級で、この場所にいるラスクには、タイガやユリの感じた悔しさは、想像することが出来ない。が、ユリの告白とそれがリンクしていることだけは、理解できた。 「俺は、化け物みたいな連中は化け物同士で磨き合っとればええ、って思ってたんやけど」 「ユリは違ったんでしょ?」 「ったく、先回りすんなや」 と、自分の言葉を受けるように、続けたラスクの髪をタイガは、くしゃりとかき回す。 「俺は、あそこで埋もれてもよかってんけど、ユリの奴がな、いっしょに来い、って引っ張り出してな」 魔闘学部にいた頃を懐かしむように、頭の後ろで両手を組むと、背伸びをするようにもたれ掛かる。 「で、こっちに来てみたら、ただでさえ化け物の卵の集まりやっちゅうのに、お前さんやアロエちゃんみたいな飛び級まで居る始末……そんな連中向こうに回さないかんのか、って思っとったんやけど」 「けど?」 「お前さんみたいな、とびっきりの化け物の卵でも、躓いたり、悩んだりしとるってのが、判っただけでも、こっち来た甲斐があったわ」 と、自分の存在を受け止めるタイガの大きさに、ラスクは、ほっとした気分になる。 「ただ、ユリ取られたんは、ちょっと悔しいけどな」 後腐れは無いのだが、タイガ自身、それを言っておかなければならないような気がして、口にしただけのことなのだが、ラスクは、そのように軽くは受け止めなかったようだった。 「……ごめ」「気にすんな、言うたやろ?」 謝ろうとするラスクをすかさず止め、己の行いに悔いを感じさせまいとする。 「お前は、俺が考えもせんかったことをして、それで、ユリを射止めたんや。やから、お前は、胸張って、俺のぼやきに真っ向からこう言えばええ。『悔しがる前に、選べば良かったのに』って」 「それじゃ」 と、その先を口にするのがはばかられる、と言いたげなラスクの態度から酌み取ったのか、タイガも、 「言われて気分の善うない台詞ではあるが……お前さんは、それを俺に言う権利がある。ただ、それだけのこっちゃ」 と言葉を続ける。と、ラスクも、「でしょ?」と言いたげな表情を浮かべているのだが、タイガの方は、そんなラスクに一瞥もくれようとしない。そうすると言葉を続けられなくなりそうに感じたからだ。 To be continued... -> 『To the BORDER, It is 1 step more.#7』
ダベリ
ラスクも、タイガも、互いに相手のことを尊重しているから、ラスクは、タイガに言われたことを口にするつもりはないし、タイガは、ラスクに告げたことをラスク本人に言われても怒ることは無いんだよね。
って、久しぶりに、俺ルールをねじ曲げて、今日の本文中で語ったことをダベリで口にしてみたりする。
さて、こっからどう話が収拾していくのか。なんて言っても、ここまでの話を追いかけてきた人達は、不安持ってないかもしれんね。
じゃ、まぁ、こんなところで、今日は終了。続きは、また明日と言うことで。