『越境〜光もたらすものと標星〜』#21

何がきっかけになってブレイクするのか判らんもんだねぇ。東海地区じゃ、シーモネーターとして知られていたSEAMOがねぇ。今じゃ、全国区だし。
コンピュータ総合学園HALとか、モード学園のCMに使われていたのも、今は昔の物語って感じだな。


スタートは、06/12/04。おさらいは、いつも、と言うか、毎度のように00年2月4日に。
2 steps more.は、12/22から。
ところで、第1話へのリンクって……必要?

では、本文。

To the BORDER, It is 2 steps more.#3

<- 『To the BORDER, It is 2 steps more.#2』

「勝って兜の緒を締めよ、って言ったのに」
 軽く落ち込んだような様子を見せて、控え室に戻ってきたユリに、アメリアが、慰め、というよりは、戒めの言葉を投げかける。
「それでも、Aをキープして戻ってきたのは見事なものだわ」
 視線の高さが自分とほとんど変わらない、いや、僅かに見上げる格好になるユリに対して、褒める言葉を投げかける。
「でも、負けちゃってるし……」
「気持ちの切り替えが大事なんだから。気にしないの。で、次は、どうするの?」
「今日は、これで終わりにします。早く報告したいし」
「そ、それじゃ、お疲れ様」


 ユリと入れ替わるように、トーナメントに向かったラスクの戦いを見遣りながら、タイガが口を開いた。
「なぁ、ユリ……」
「何?」
「俺らの肩書きって……なんなんやろな?」
 つぶやくような、彼の問いかけにユリは、答えを用意することが出来ない。タイガが見遣るラスクの様子を観ていると、ゴールドメダルを奪取していながらも、それが、本来あるべきトーナメントランクでないことが影響しているのか、何処か曇った表情で佇んでいる。
「修練の程度……かな……」
「程度、か……」
 ひねり出したようなユリの言葉に、タイガは、繰り返すのが精一杯だった。
「タイガなんて、サボりまくってるじゃない。見取り稽古や、とか、見聞を広めることも大事なんや、とか言ってるけど」
 痛いとこつくなよ、と言いたげなタイガを無視して、ユリが言葉を続ける。
「私たちが学ぶべきなのは、対抗手段なわけじゃない? だとしたら、結局は、模擬体でも異形との交戦を積まなきゃ」
 と言い終えたところで、ようやく違和感を覚えたのか、
「けど、どうして、そんなこと聞くの?」
 とタイガに聞き返していた。すると、タイガの方も、重たい口調ではあったが、返事を紡ぎ始める。
「いや、ラスクがな…… もうええ加減、大魔導士を名乗ってもええような気がすんのに、ケルベロスを覗いたことがないから、って理由で名乗ろうとせえへんからな」
「まだ、引き摺ってるのかな……」
「おそらくな……」
 確かめるようなユリの言葉に、推測とはいえ、タイガには、それ以外の言葉を用意することはできなかった。 
「お前と喧嘩やらかしたときも、焦りがあった、と自分で認めはしたが……結局、その焦りの原因も、そう言うことやろしな……」
「行かせなきゃ、良かったね……」
「悔やんでも始まらんけどな……」
 と、後悔するだけ無駄だと口にはしていたタイガだったが、その表情には、後悔がにじんでいた。

To be continued... -> 『To the BORDER, It is 2 steps more.#4』

ダベリ

まぁ、なんだ。ユリとタイガの話題に上っている事は……流してくれると、これ幸い。
『境界越しの約束』以降で、何度か触れている話に関ることだから。
一応、今までに戯言カテゴリーで公開した作品を時系列で並べると、『境界線』→『ポッキーゲーム』→『リザレクション』*1→『境界越しの約束』→『最後の境界を目指して』→『越境』となるわけさね。

あ゛ー、そう言えば、タイガ兄ちゃんが昇格したときの小咄も書かなきゃいかんねぇ。
こっちも、戯言としてまとめるかどうかは……拍手の量で考える。だって、『越境』が終わるのを待っていたら、QMA4始まってるだろうからね(苦笑)。

さて、今日のところはこれまで。続きは、また明日。

*1:これに限っては、「小咄」が近い。