『越境〜光もたらすものと標星〜』#18

昨日は、年内のストックが出来た、なんて言ってたけど……実のところ、今作業に取りかかってる部分と連結を考えると、1週間分のストックしかなかったりする……orz
まぁ、そのうち、何とかなると思うから、それで一気に増えることになると思うんだけどさ。
う〜む。ここへきて、一気に貯金を使っているような気がしてきたぞ。



スタートは、06/12/04。おさらいは、いつも、と言うか、毎度のように00年2月4日に。
現在Part2というか、Part1-Section2ってところ。第1話へのリンクは、トップに……って、トップから消えてたらどうするんだろうね?(ぉぃ)
では、本文。

To the BORDER, It is 3 steps more.#8

<- 『To the BORDER, It is 3 steps more.#7』

 ラスクの戸惑いを承知していたのか、していないのか、ユリは、ルキアに言われてからずっと考えていた事を言葉としてラスクにぶつけていた。
「ラスクも、不安だったんだよね…… 私と同じ事が出来てなかったから」
「うん……」
 焦りの原因を、本人から指摘されてしまい、ラスクは、ただ頷くしかできなかった。ラスクの返事を聞いて、ユリも安心したのか、言葉を続けていた。
「けどね、ラスク……」
「なに?」
「私も不安なんだ…… このままエルフに堕ちたら、ラスクの目標に相応しくないんじゃないかって」
「ぼくの方が、ユリよりも弱いよ」
 静かな反論がラスクから投げかえされ、ユリは、思ったままを口にする。
「弱くなんてないよ。ラスクは。今も、こうして、前を向いて歩いてるじゃない。それに、」
「それに?」
 語尾を繰り返したラスクに、ユリは、彼に投げかけられた言葉を口にしていた。
「ラスク、前に言ってくれたよね? 『明日は晴れるよ』って」
「言ったっけ?」
 とのラスクの言葉に、ユリは頷くと、こう言葉を続けた。
「私が言って欲しいときに、言って欲しい言葉をちゃんと言ってくれてたから……今日も、言ってくれると思ってたんだ……」
「……言えなくてごめんなさい」
「ううん。謝るのは私の方。ラスクに、頼ってばっかりだったよね。私の方が年上なのに、ラスクだって、疲れちゃうよね」
 謝るな、と言外に告げられ、ラスクは返す言葉を失った。そして、そう告げたユリ自身も、続ける言葉を見出すことができずにいた。
 より正確に表現するなら、候補となる言葉はあった。が、それらでは、自分が伝えたい気持ちを全て伝えきれないように感じてしまったのだ。
――ごめん。ラスク。私の言葉じゃ足りないや……
 言葉も伴わなければ、きっと伝わりきらない。そんなことぐらい、彼女にも判っていた。でも、それ以外の答えを彼女は見出せなかった。

 抱き寄せるために使っている腕で、ラスクの緑色の髪を愛でるように、そっと撫で梳かす。
「ごめん、らすく…… これ以上、言えなくて」
 途切れ途切れの言葉に、ラスクは絡めていた指を振り解く。
――!?
 突然のラスクの行動が、拒絶に思えてしまい、驚きに繋がり、ユリの反応が遅れた。ラスクには、それが有り難かった。
 抱き寄せられていたことを利用し、躊躇うことなく、彼女の身体にしがみつく。
「エルフに堕ちても、ユリがペガサスでゴールド獲ったことは帳消しにならないんでしょ?」
「多分……ね」
「だったら、ぼくの目標ってことにかわりはないよね」
――たまには、私に先に言わせてよ、そう言う台詞……
 ラスクの言葉に、ユリが軽くヤキモチを焼いていると、そんな彼女の心情を知ってか知らずか、ラスクがゆっくりと言葉を続けていた。
「ぼくでよかったら、そばにいるよ?」
「もう…… 前に言ったじゃない。ラスクじゃなきゃダメって」
 と、ラスクの問いかけに応え、こう続けた。
「でね、お願いがあるんだけど……」
「何?」
 珍しくユリが、言葉を濁していることに疑問を感じたのか、ラスクが続きを促すように聞き返す。
「一つ星の頃にさ、『おまじない』してくれたじゃない? あれ、もう一回……して欲しいなぁ、って」
 赤くなりながらのユリの言葉に、
――ルキアさんにも見られてるのに……今更、そんな……
 と思いはするのだが、口から出た言葉は、
「要るの?」
 との確認の言葉だった。


「いい? とにかく、落ち着くこと。ペガサスで、コロセウムに到達するのは賢者の方が多いに決まってるんだから」
「それは判るんだけど……」
「第三セットを切り抜けることが出来たら、まず深呼吸。で、先生のフェイクがどのメダリオンにするのか聞いてきても、落ち着いたと思えるまでは選ばないこと」
 皆が思い思いに過ごしている自分たちの教室に戻る道すがら、ユリは、ラスクにペガサスでのコロセウムに立つ際の心得を言葉にして伝えていた。
「それだけで、変わってくるものなの?」
「全然違うから」
「そう、なんだ……」
 ユリの言葉に、自分の知らない対策を教わった気がしてしまい、意気消沈、といった雰囲気を発してしまう。そんなラスクの様子を見て悟ったのか、ユリも、励ますように、
「ラスクなら、大丈夫」
 と、言葉をかけていた。

To be continued... -> 『To the BORDER, It is 2 steps more.#1』

ダベリ

……今までの話の中で、一番書くことに苦しんだ部分。なんというのかな……気持ちが先走ってて、言葉が追い着かない、ってのを初めて経験したんだわ。多分、『産みの苦しみ』ってのとも違う、んだと思う。
12/18売りのジャンプでの銀魂で、「芸術家は、ケツの穴から宇宙を出すような苦しみを越えて、世界を……」って言葉があったような気がするんだけど……それがなんか実感できちゃってね。

でも、銀時って格好いいよな。そのまわりにいる連中も。
閑話休題
まぁ、どの場面が、その一番苦しんだ場面なのかは、読んでもらうとして。
今日で、三級のパートは終了。明日からは、ようやく、『最後の境界を目指して』のラストに追い着く格好に。やれやれって感じ。採寸、(ガス抜きという意味での)喧嘩、さて、次は? ってのは明日からの話ってことでね。
じゃ、また明日。