『越境〜光もたらすものと標星〜』#07

ストックが無くなってきたら騒ぐし、そうやって騒いだ挙げ句に、このカテゴリーの更新が止まったときは……あ゛ー、書ききれなかったんだな、ってわかっちゃうよね。
……がんばりますです。はい。


スタートは、06/12/04。おさらいは、いつも、と言うか、毎度のように00年2月4日に。
このパートは、最初のパートなんで、スタートの日が、パートの始まり。
では、本文。

To the BORDER, It is 4 steps more.#7

<- 『To the BORDER, It is 4 steps more.#6』

「それじゃ……ラスクからにしますね」
「ぼくから?」
 クリスの言葉に、ラスクが意外そうな反応を示す。
「前も、ラスクからだったじゃない。そんなに変?」
「まえ?」
 クリスの言葉に、タイガが食い付く。
「前って、お前ら、ここで採寸するようなこと有ったんか」
「私の制服を、ね」
「なんや、なんや。見境無しにラスク責め、ちょ、まて! 冗談や、冗談。軽い冗談やないか?!」
「もう少し、TPOをわきまえる方が良いと思いますよ」
 タイガの言葉とそれに対するユリの反応から、その言葉の真意を読み取ったのか、クリスがタイガに投げかけた言葉は、軽く非難が含まれていた。


「賢者服、目前になってきたんだね」
「まだ、六つ星(四級)だから、もうしばらく掛かるよ」
 しみじみと話しかける姉に、ラスクは反論の言葉を投げ返す。
「それも判ってる」
 三ヶ月前もそうだったように、今も変わらず慣れた手つきで、弟のサイズを測り、記録していく。
「だったら、こんなに早く来る必要も」「だって、ユリさんの制服を仕立てるための時間が欲しかったから、今ぐらいに来て貰ったんだもの」
 ラスクの反論を遮るように連絡を頼んだ経緯を口にした。
「それにね、ラスクのたった独りの身内としては、ユリさんとの仲が進展したのか、って事も知りたいしね」
「ね、姉さん……?」
 自分が魔導士に昇格した、と報告したときの素っ気なさは影に隠れ、耳年増な少女の顔を覗かせた姉に、ラスクは、気圧されてしまった。
「で、どうなの? 何か変わった?」
「ちょっとだけ、なら」
 と気恥ずかしそうに切り出したラスクに、
「どういう事?」
 ルキアのようにがっつくのではなく、ただ静かに、本人のペースに併せるように、クリスは問いかける。
「お姫様だっこ、された」
「それならお嬢様から聞いた。タイガさんは王子様だっこって呼んでる、って話も」
 期待して損した、と言わんばかりの調子でクリスはラスクの言葉に切り返した。

「ところで、ラスク」
「なに?」
「父さん達には、報告した? ユリさんのこと」
 とクリスに切り出されて、ラスクは真っ赤になった。
「うん…… 報告した」
「二人で?」
 ラスクの反応と返答に、クリスは、至って自然な流れの想像で問いかける。と、ラスクは、彼女の言葉に、頭を振って応えた。
「ユリさん、『約束したから行けない。ぼく一人で行っておいで』って」
「そっか…… 一人で碑に向き合えたんだね?」
 続いたラスクの言葉に、クリスは噛みしめるようにつぶやいて、ラスクに問いかけていた。
「うん…… 父さん達とは、もう逢えない。その事に、独りで向き合えた」
「それじゃ、報告の時、ラスクの隣にいる必要は、無いわね?」
「どう、して?」
 震えるような声でラスクが問い返したのは、何時か来るかも知れない、その日が、突然やってきたことを、思い知らされたからだ。
「だって、ね、ラスク。あなたの隣は、私の指定席じゃないもの。もっと相応しい人が見つかったんなら、私は、その人にその場所を譲るつもりだったから」
「判った……」
 そう答えた、ラスクを後ろから抱きしめると、クリスは慈しむように
「大きくなったね、ラスク」
 とつぶやいていた。

To be continued... -> 『To the BORDER, It is 4 steps more.#8』

ダベリ

タイガ兄ちゃん、下ネタ飛ばしすぎ。……ってか、こんなタイガ兄ちゃん書いてて、「こんなタイガを書くなんて思ってなかったよ、UWAAAAAAAN」とか言われたら……どうしよう?
……ま、明日になれば、おそらくいつも通りのタイガ兄ちゃんが帰ってくると思うけど。

しかし、ここ数日ほど、「言葉しか繰れない事」による無力感を、痛切に感じてる。言葉だけ、絵だけ、ではどうにもできない無力感。両方で表現することが、一番的確に表現できるような気がする場面に遭遇したからなんだけどね……
とは言え、その場面をどうにか処理して、手元では19話目にとっ掛かってるところなんだけど。
そうか……もう、1週間になったのか。早いもんだねぇ。時間が経つのは。

ま、そんな感じで、今日はこの辺で。続きは、また明日に。