『越境〜光もたらすものと標星〜』#06

さすがに、こいつを朝令暮改するわけには行かんでしょ?
これを朝令暮改したら、俺……一番大事なもの亡くしちまうんよ。書き手としての魂って、すっげー大事なものを。
何、クサいこと吐かしてんでしょうね。きっざー、さっぎー……チョットマテ


スタートは、06/12/04。おさらいは、いつも、と言うか、毎度のように00年2月4日に。
このパートは、最初のパートなんで、スタートの日が、パートの始まり。
では、本文。

To the BORDER, It is 4 steps more.#6

<- 『To the BORDER, It is 4 steps more.#5』

「姉さん、意味がよく判んないんだけど……」
 驚いたような様子を見せたのは、ラスクも同様だった。
「ユリさんも、ラスクも、ペガサスでのトーナメントは経験していましたよね?」
「俺も見たことぐらいなら有るで」
 おいていかれているような気分になったのか、タイガも二人の付添で観戦ぐらいならできる、とクリスの言葉を受ける。が、クリスは、そんなタイガの様子を無視するように、ユリかラスクの口からの返答を待っている。
「もう、賢者ばっかりなんだもの……踏みとどまるのでも精一杯」
「だとしたら、何か一つ、お気づきになることはありませんでしたか?」
「あ……」
 と、クリスの言葉の意味を理解したからなのか、ラスクが短い声を上げる。
「賢者服、着られるようになるんだ」
 これ以上なく端的な表現で、ラスクが気付いた事を口にする。その事に気がついた弟に満足したのか、クリスは穏やかな表情で言葉をかけた。
「ご名答」

 一般的なアカデミーの制服は、黒を基調として、スカートの裾、上着の袖と裾、前立ての部分に白線があしらわれ、襟を赤いリボンタイで飾るデザインになっている。ラスクの言った賢者服とは、このカラーリングが、基調が白になり、あしらわれる白線が藤色に、リボンタイが藤紫色に、との組み合わせに変更されたもののことを指している。このカラーリングは、賢徒の碑に名を刻む権利を有するもの、つまり、賢者号を授かったものにのみ許されているために、自然発生的に、賢者服、との呼称が定着していたのだ。

「賢者になると、何が変わるの?」
 とは、ユリの質問なのだが、その質問が来ることを予想していたのか、クリスが準備していたように答え始めた。
「まず、ラスクの言葉にもあったように、賢者服に袖を通すことが許されます。外見的には、これが最大の変化ですね。その次に、バッヂの意匠が、グリフォンになりますし、バッヂをペンダントやブローチに加工することが許されます。こうすることで、これは、賢者服と普通の制服とを細かく着替える際に、取り外したり取り付けたりして布地を傷めないようにするのが目的ですけど。で、立場的に、一番大きな変化になるのが」
 と、ここで一息つくと、
「担当している教導師、つまり、ユリさんの場合なら、アメリア先生から名前を授かることです」
「ラスクは?」
 自分と同じ立場にあるはずのラスクを挙げなかったことが気になったのか、クリスに問いかける。彼女の疑問に応えたのは、問われたクリスではなく、名前を挙げられたラスク本人だった。
「前にも言ったと思うけど、ぼくは、父さん達の名前を受け継ぐつもりだから」
「でも、シャロンは、パーシュートって名乗ってるけど」
「旦那様は、上級号を受けたところで、アカデミーを去ったので、一人の魔術士として認められた、と言う意味でパーシュートの名をアカデミーから授かっているんです」
「あれ? でも、そうすると……」
「ただ、お嬢様が名乗っている姓は、魔術士としてのもの。お嬢様が賢者号を授かったときには、もう一つ、名前を授かることになりますけど」
「いろいろあるんだ……」
「それだけに、責任も重くなりますよ」
 とのクリスの言葉には、静かではあるが、凄みのようなものが宿っているようにユリには思えた。

To be continued... -> 『To the BORDER, It is 4 steps more.#7』

ダベリ

うちなりの、「賢者になること」に関する解釈なんぞぶちあげてみたり。
まぁ、最後の名前に関することは、昇格話でことある毎に触れてきたネタだから、今更感が強く漂うけどさ(苦笑)。

明日は、タイガ兄ちゃんの悪いところが大暴走、ってね。まぁ、ちょっと重い目の話も、さ。タイガ兄ちゃんが良い感じに息抜きしてくれてると思うのよ。とかなんとか。
んじゃ、今日のところは、この辺りで。続きは、また明日。
see you tomorrow〜♪

そのかわり、こっちは朝令暮改しとく。昨日あった美乃梨さんの無責任発言ですが。書くのに、一番苦しんだ場面であることにかわりはありません。が、どんな台詞が出てくるんだろう、と思っていると、肩すかし食らう気分になると思います。

もしそうだったら、マジで勘弁してやってください。『言葉』だけの限界を見たような気分になってたんで。