今日の小咄

――ラスクが勝ち上がったファイナルの、ラストクォーター。アメジスト・グラフ*1の様子を見ながら。
ユリ:
 あ゛、今の敗着になった。
タイガ:
 判るんかい?
ユリ:
 判らないもなにもさ、どう見てもトップ争いしてる二人の結果が、正誤に別れたら……きまりじゃない。
 悔しいんじゃないかなぁ……
 違うとは判っててもさ、『姉』に負けるって。
タイガ:
 ん? シャロンとラスクって血ぃ、繋がっとるんか?
ユリ:
 そう言う訳じゃないけど、シャロンにとっては……
 これ、私の勝手な思いこみだから、誰にも言わないでよ?
タイガ:
 なんや?
――ユリ、タイガに何事か耳打ち。
タイガ:
 はぁっ?
 ラスクが、初恋の相手? んな訳あるかい。
ユリ:
 声が大きい。
タイガ:
 すまん、すまん。
ユリ:
 私が聞いて応えるわけがないし、かといって、誰かが聞いて、あのシャロンがすんなり応えると思う?
 けど、この前の事を考えてみるとさ、
――ユリの言葉を遮るように、結果発表。
タイガ:
 あ゛ー、ユリの言うたとおりやな。二位で終わってしもうとる。
ユリ:
 でも、大したものじゃない。よっぽど調子が悪くなきゃすぐに復帰できるんだもの。
タイガ:
 そう言うお前も、ユニコーンで、何回優勝したんや?
ユリ:
 さぁ? マンスリーでは、5回って事らしいけどさ。
タイガ:
 そんなに楽なんか? ユニコーンって?
ユリ:
 別格ね。ペガサスじゃ、ちょっとの遅れが致命的になることが多いもの。
タイガ:
 んなとこ渡っていかないかんのかい……冗談やない話やのぅ……
ユリ:
 何? まさか、怖じ気づいてるの?
タイガ:
 結構な。
ユリ:
 らしく無いじゃない?
タイガ:
 んなことよりも、お前らのずっと後を歩いとる方が楽な気がしてな。
ユリ:
 もう少しさ……頑張ろうとかって思わないの?
タイガ:
 お前らと同じような場所歩いとってな? この前みたいなことがあってみぃ?
 あいつが、俺の言葉を、受け入れられると思うか?
ユリ:
 ……
タイガ:
 俺は、あいつの兄貴分、いや、あいつから見て弟分って事でもええねん。それで、あいつが立ち直れるきっかけになるんやったらな。それに、前に言うたやろ?
 お前らに頼まれたら、精一杯手を貸すって。
 そのためには、ある程度、離れたとっから見る方がええんや。
 一体差で地団駄か。結構落ち着いてきた感じやな。
ユリ:
 うん。いろいろ、見つけなおせたみたいだから。
タイガ:
 ええ傾向なんとちゃうか?

こげな感じ。

*1:学問・四文字の意