今日も見たよ?

意識がはっきりしたときには、4:01だったけどさ……(汗)
ジダンの威光、未だ消えず」って感じだったね。
さてと……
大まかなおさらいは、00年02月01日に。話の頭自体は、今年の5月1日。
今のブロックの先頭は、6月26日から。では、本文。

ラスク・Expert#5

<-『ラスク・Expert#4』

「それじゃ、父さん、母さん。私たちは、これで帰ります」
「ユリさんにも追いつかなきゃいけないから、そう遠くならないうちに来ます」
 帰ることを切り出したクリスの言葉に、ラスクの願望めいた言葉が続く。
――ゆっくり、自分たちの人生を歩みなさい。
 二人は、風に、そんな声を聴いたような気がした。
「「え?」」
 互いに見合って、声の主を確認する。が、姿は見えない。
 でも……そんなに悪い存在ではないような気がする。
「じゃ、帰ろっか」
「うん」

 二人が、アカデミーに去っていった後。
 白銀の髪に、深紅の瞳。霊体となった少女が、そこに居た。
 普段は、ユウのそばから離れる事のない彼女が、今朝に限っては、ラスクたちが立っていた近くに、だ。
――これで良かったんですよね? マイケル様。ルーシア様。
 確かめるように、碑を見渡すと、彼女の口が再び動き出した。
――私も、これで帰ります。ユウのことが心配ですから。

 弟の魂を、命をつなぎ止めるために、「写し身」の禁呪を用いて、自らの身体を差し出した賢者の少女が居た。
 息絶えていた弟に、身体を与えたために、彼女の名前は、碑の末席に刻まれている。


「もう少し落ち着いとったらどうやねん?」
 そわそわした様子のレオンとユリに、タイガが呆れたような言葉を投げかける。
「そうは言うけどな」「そう言うけど」
 二人の返答がハモった。
「まず、レオン。お前、そんに不安やったら、自分で確かめに行ったら、どうやねん?」
「いや、それは……」
「ダメダメ。名前が増えてたら、って思っただけで身動き取れなくなっちゃうんだから」
 言葉を濁すレオンに、ルキアの言葉が被さる。
「……何かシランがちっちゃいのう。ラスクの方が、よほど肝っ玉座っとるやないけ。で、ユリ。お前は、ほんとに落ち着け。ラスクが言うた期限は、もうそろそろなんやろ?」
「そうだけどさ……」
 とユリが答えたところで、ユウの「あ、姉さん」の声が教室に響き渡る。クラスの中で、その真意を理解できた者は、多くはないが、アロエは、確かに、居なくなっていたサツキの姿が、定位置にあることを見ていた。


「本当に、姉さんは行くつもりが無いの?」
「当然でしょ? ラスクも、立派な魔術士に認められたって言うのに、報告に私が付いていかないとダメなの?」
 心細そうなラスクの問いかけに、クリスはその答えを準備していたように、投げ返した。すがるようなラスクの様子に、彼の取り巻く状況を思い出させるように言葉をかける。
「ユリさんと行けばいいじゃない」
「姉さん、何を言ってるのか、判ってるの?」
「別に。まぁ、デートスポットって言うには、ちょっと、難有りだけどね。でも、父さん達だって、会ってみたいと思ってるかもしれないじゃない」
「そうじゃなくて」
「もう、言ってあるでしょ? ラスク。上級号を授かったことで、あなたは、一人前の魔術士として認められているの。碑に報告に行くときぐらい、独り立ちして」
 なだめるようなクリスの言葉に、ラスクはただ頷くしかなかった。

To be continued... -> 『ラスク・Expert#6』

今日のあとがき(ダベリとも言う)

ふぅ。本当に自分に言い聞かせる方が大事な言葉が続いてますよ……(苦笑)
どうでもいいネタバラシ。最初、ラスクとクリスに語りかけるのは、ただの風の予定で、この場面で締める予定だったんだけど……なんとなく、サツキを使いたくなったのと、そういう形で締めた場合、(俺の中で)未消化になっている部分が多数出てきたんで、そっから拡げていったら……こんな大風呂敷になった、ってのが正直なところ。
ユウとサツキのことに関しては、ユウの身体って、元々はサツキの身体じゃないのかな? って解釈した方が、いろいろとすんなりまとめられそうな気がしてしまった影響で、「『写し身』と言う名の禁呪」の発想に繋がっていったんだけどね。
まぁ、肉体は魂の器であって、その魂に応じて肉体が再構築されて*1性転換した、って事にしても良いだろうし、「実は……のまま」、ってのも有りだろうしさ。この解釈をどう料理するか、ってところは、「何かいっちょ書(or描)いてやろう」って思った人達に任せるとして、俺がこう解釈するに至った経路など。

  1. ユウの身長が、男子生徒群よりも、女子生徒群に近いこと
    • これは、年齢が公言されていないので判断基準として考えるには、少々踏み込んだものになってしまうけど、3〜4年間で30cm近く身長が変わるような成長群の中にあって、あまりにその身長差が中途半端。
    • 確かに、ユウの年齢に言及する要素は一切公開されていないけど、飛び級であるのなら、その旨が記載されていてもおかしくないような気がするんだ。だとすれば、ユウの年齢は、レオン達と同等であって、その中にあって、その身長があまりに低すぎる、と言うのも要因としては大きい。
  2. 全国大会で箒に乗ってるときに、横座りしている
    • 確かに、ルキアアロエのように、女子生徒でもまたがっているとか、ユリのように、デッキブラシで仁王立ちなんてのがいる以上、男子生徒で横座り、なんてのは変わり者として見なせるかも知れないけど……
      パンツスタイルの彼が、なんでそんなことする必要があるの?

取り敢えずは、この二点かな。この二点を、互いに矛盾させないように、織り上げようと思うと……俺では、こういう答えしか導き出せなかった。
「イヤ、こう考える方がスマートじゃね?」って異論があるんだったら、リアクションが欲しいけど……論破どうこうって問題じゃなくてさ、「自分は、その二点からこう解釈したよ」ってのが聞きたいんだけどね。

あ゛、それから、この話。アーカイブとしてまとめるとき、修正かけるです。なんか……いびつになってるような部分が出てきてる気がしてさ。それをやれる限り修繕しようと。
……で収集つかなくなるのが目に見えてて激しく鬱。(ダメだろ、それじゃ)

*1:山本弘著『ラプラスの魔』における、草壁健一郎のような存在