『境界線(仮)』#33

あーぁ、とうとうストック無くなってるじゃない。

幕間#3・私が一番聞きたい話#9

<-『幕間#3・私が一番聞きたい話#8』

 ユリの言葉に、返す言葉をなくしたルキアだったが、ふと、ユリの願望が実現したときの絵を思い浮かべたくなった。
――あのラスクが……ユリに、お姫様だっこ……
 と思い浮かべたところで、ユリの体重に負けて潰れる二人の姿が目に浮かぶ。
――ん〜……体重に負けるんじゃなくて、ユリの胸に負けて、かな?
 とルキアは自分のことは棚に上げて、結末までも思い浮かべる。が、ユリが言わんとしていたことは、そういう事じゃない。
 するのじゃなくて、される側で。
――ユリの調子だと、首に両手を回せ、って言いそうだけど……ラスクが、するかな?
 両手と目のやり場に困るラスクの様子が目に浮かび、なんとなく滑稽に映る。
「随分、面白そうなこと、考えてるじゃない」
「明日にも、して上げようかな、って思ってるんだ」
「明日って」
 随分せっかちだな、とルキアは思ったが、その瞬間、自分がユリを揺さぶるために使った材料の一つを思い出し、納得の表情を浮かべた。
「あ、そっか…… ラスク、昇格したんだっけ」
「明日までは待ってほしい、って言ってたしね」
「でもさ、もうすぐフェスタじゃん」
「そこがネックなんだけど…… 悩んでても始まんないでしょ」

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「二日連続で、姉さんがこっちに来るって珍しいよね」
 パジャマに着替え、就寝の準備を始めたラスクは、クリスに話しかける。
「私より、ユリさんの方が良かった?」
 と返されて、ラスクは首をふりつつ応える。
「明日行くから、関係ないもの」
 言い切った弟の様子に、成長の影を感じ取ったのか、クリスも嬉しそうに言葉を返した。
「大胆になったじゃない。これもユリさんのおかげかな」
「なっ!? ちょっと、姉さん!」
「そんなに照れなくてもいいじゃない。アメリア先生のクラスのみんな、知ってるんじゃない?」
「……アメリア先生にも、そんなこと言われた」
 とむくれてみせる。瞬間、会話が途切れた。姉からすれば、弟は、そして、ラスク自身 にしてみても、両親が到達した称号に、近づいてきたことを実感したからだ。
「けど、ラスクもとうとう、上級号か……あと二つだね」
「うん。でも、ここからが、遠いみたいだけど」
「それは仕方ないわよ。魔術士から魔導士になるには、それ相応の経験などがないと認められないんだから」
「ちょくちょく、トーナメントに参加してるユリさんでも、まだ六級って言うから」
「どれぐらい違うの?」
「上級になってから二十回ぐらい参加したって」
「ラスクも、それぐらい覚悟しないとね」
「そうだね……」
「でも、ラスクも、魔術士としては一人前なんだ…… ちょっと前まで、わけ判らなくなって、暗い顔してたのにね」
「アメリア先生にも言われた……」
「私は、ユリさんとつきあい始めたのは、良いことだと思ってるよ」
 クリスは、ラスクの選択を応援するよ、と暗に伝えていた。

To be continued... -> 『ラスク・Expert#1』

って訳で、ちょうど今日で一段落、ってところなのかな?
精神的にガタガタになってるときに書いてたから読みづらかったり、文章的に空回りしてる部分も多かったかも知れませんが……ようやく……ラストスパートです。
って、この先、イベントがあるか、って言うと、無かったりするのが、この話なんですけどね。

そう言えば、最初にひであきくんが言ってた小ネタのうち、『お姫様だっこ』が終わったところですね。
……この先、大丈夫なのかな?(汗)