『境界線(仮)』#31

……全く、いい加減タイトル決めたらいいのに。
あ、この話に関してですけど、ひであきくん自身の負担にはなっていませんので、お気遣いなく。
今のpartは、先週の月曜日スタート。 それまでのおさらいや、冒頭へのリンクは、00年2月、かな? の1日に、まとめて張ってあります。

幕間#3・私が一番聞きたい話#7

<-『幕間#3・私が一番聞きたい話#6』

「そしたら、そしたら?」
 言い淀んだユリの言葉尻を繰り返して、迫るようにルキアが聞き返す。
 が、ユリの言葉は続かず、当時を思い出してか、真っ赤になって俯いていた。
「ちょ、なにそれ!? なになになに? もっとちゃんと教えてよ!」
「触った、って思ったら、ラスク、離れちゃったんだもの」
「えー? キスすると、なんかの味がするって良く聞くじゃん。それは、それは?」
「そんなの判んないってば。触った、って思った瞬間に、ラスク離れちゃった、って言ったじゃん」
「えー? なにそれー、それで終わり?」
「終わり、終わり」
 と、この場を収めようとしたユリに、マラリヤの声が飛んだ。
「何か隠してるでしょ?」
「い?」
 予想外の問いかけに、ユリは心臓が止まりかけたような気がした。
「な、なんのこと?」
「ちょっと、聞いてみたかっただけ」
「おどかさないでよ。本当に」
 と続いたユリの返答と反応に、ルキアは、直感した。
「続き、あるんでしょ?」
「ないないない、なーい! なーんにもない!」
 と、この場を収めるために、必死になって否定するが、それが却って逆効果になっているのは、ルキアの
「怪しいなぁ」
 との言葉からも明らかだ。
「本人いないけど……その枕相手なら、本人と変わらないよね」
「本人と変わらないって、何よ?」
「身の丈とか、あ、口元はダメか。絵だし」
「なんで、口元にこだわるのよ」
「あれ? なんで、口元って言葉に噛みついてくるの?」
 とのルキアの言葉に、ユリは、思わずしまったという表情を浮かべてしまう。ルキアには、それだけで充分だった。
「ユリさんってさぁ……やられっぱなし、じゃ済まさないひとのような気がするんだよねぇ」
「な、なんの話よ!?」
「キスとかも、そうなんじゃ無いのー?」
「な、何を根拠にそんなこと」
「この前、タイガくんに呼び出されたとき、さ、思いっきり蹴り上げてたもんね」
 ルキアの言葉に、ユリは、最悪の場面を見られてしまった、と後悔する。が、言い出した本人は、何かを勘違いした様子で問いかけてくる。
「あれさ、突き飛ばされた反撃でしょ?」
「どっちでも良いでしょ」
 意外に守りの堅いユリに、ルキアは攻め手を変えることにした。
「ところでさ、ラスクって、昇格できたかどうか誰か知らない?」
「それだった」「昇格できたそうですわ」
 と、ルキアの質問に答えようとしたユリの言葉をシャロンが遮った。
「誰から……って、クリスか」
「ええ。ですから、今夜も、二人水入らずですわ」
「シャロンも、案外良いところ有るじゃない」
「よ、余計なお世話ですわ」
 率直なルキアの言葉に、シャロンは真っ赤になって言い返すのが精一杯だった。

To be continued... -> 『幕間#3・私が一番聞きたい話#8』

そう言えば、ユリさんが意識して無さすぎ、って意見ありましたけど……ラスクくんが意識しすぎてるから、すっごいからかい方してるんだと思うんです。
で、誰かが、似たようなからかい方をするとなると、そのからかった相手を威嚇するような、そんな感じなんだろうなぁ、って。
だって、ほら。受け攻めで言ったら、ひであきくんと同じ方向性だから。ユリさんって。