美乃梨: ……一つ訊いて良いかな? ふゆざき: ん? 美乃梨: 動き出せば早いくせにさ? なんで動き出さないの? ふゆざき: 興が乗らない日もあるの。困ったことに。 美乃梨: そのムラッ気、もう少しなんとかしたら? ふゆざき: かもしんね……
この話の先頭は、5/1。その次のブロックは、5/10から。で、幕間#2は、5/18から。では、本文。
幕間#2・昨夜聞かされた話#5
<-『幕間#2・昨夜聞かされた話#4』 「え? ちょっと、待って……」 自身にも理解しやすくするためだったのか、それとも、敢えて直接的な表現を使ったのか。彼女たちのクラスの中でも、ラスクと同じように飛び級で入学を果たしたアロエの言葉に、ユリは動揺していた。 「ラスク、そんなこと……何も、言ってないし、そんな素振り、見せてもないよ?」 「見せまいとしているのでしょう」 「ふさぎ込んでたの、ホームシックか、何かだと思ってたのに……」 「ショックだったのでしょう…… お二人の身に降りかかった災難までは、私には判りません。お父様も、その事には触れたがりませんでしたから」 うわごとのようなユリの言葉に、平静なままでシャロンが言葉を返す。噛み合っているようで、噛み合わない二人のやりとりに、ルキアが質問を投げ込んだ。 「それじゃ、二人は、どうやって今まで?」 「お父様が、預かっていた二人を引き取ったからです」 まるで、準備していたかのような早さで、シャロンが答える。 「預かる?」 「ええ。お二人とも、フィールドワークを主としながらも、可能な限りクリスたちも同行させていたのですが、危険な場所に研さんに赴かれるときは、お父様のところに、二人を預けていくことが多かったのです」 「サラブレッドかと思ったら、ラスクも結構苦労してたんだ」 「お父様も、昔のよしみとのことで、快く引き受けていましたし、クリスたちも、実の両親のようにお父様たちに懐いても居ましたから、これと言って問題はなかったのですが……」 「が?」 「お二人が客死なされたとの報せが届いた後、二人の処遇について、クリスにも次第を打ち明け」 おとなしく相槌を打っていたルキアが、シャロンの言葉に素早く反応した。 「ちょっとまって。それじゃ……なに? クリスは知っていたって言うの?」 軽く裏返ったルキアの声に、シャロンは頷いてから答えた。 「ラスクに悟られまい、って判断は……彼女の判断です。その判断を尊重して、お父様も、二人を養子として迎え入れるのではなく、後見人となって、二人が成人と認められるまで、生活を保障することしたのです」 「でも、そうするとさ……クリスが、シャロンのことを『シャロンお嬢様』と呼ぶ必要なんて無いじゃないの?」 シャロンの言葉が完成するのを待って、ルキアが当たり前の質問を投げかける。 「シャロンのお父さんが後見人だとすると、立場的には対等のはずだよね? シャロンの言い分じゃ、分け隔て無く、って感じだし。それに、」 思い出す素振りを見せて、ルキアが確認の意味で問いかける。 「ラスクは、シャロンのことを、『シャロン姉』って呼んでるわけだしさ?」 「お父様の仕事を学んでおきたい、と彼女から言い出したからですわ」 クリスの呼び方が、自分の意に沿わないものだと言いたげに、溜息をついて、シャロンが言葉を続けた。 「私から見れば、クリスも、ラスクと同じように妹に当たる存在。ラスクと同じように呼んでくれても構わないのですが」 「本人がそれを良しとしない?」 待っていたようなクララの言葉に、悲しそうに微笑んで、シャロンが言葉を補った。 「根が真面目で、融通が利かなくて」 「まぁ、クリスが、シャロンのことをお嬢様と呼んでいる理由は判ったけど……さ。だったら、シャロン。どうして、あなたまで、家を出て、寮生活を選んだの?」 シャロンの選択を理解できない、そう言いたげにルキアが問いかけた。 To be continued... -> 『幕間#2・昨夜聞かされた話#6』
利用できる公式設定は、がしがし利用していきますよ? 利用できないのは、無視するだけ(マテ
しかし、何というかなぁ……
我ながら、えげつない設定してるとは思う。うん……
そう言えば、結局分量は、前と変わんなかったね。ちょっと増えた程度でさ。