拍手叩いてくれた人達のために……というより、連中(ユリラスタイガ)のために、書き進めていくよ。この話はね。
拍手を叩いて欲しかったのは、次の話*1を読みたい人が居るかどうかが、知りたかったんだ。たとえ、それが、誤解だったとしても、待ってくれてる人が居る、ってだけで前に進めるから。
誰も居なかったら……本当にQMAを続ける気力無くしてたかも知れない。
ブロックの最中に長期の休みを挟んだのは……今回が初めてだったな。
さてと、テンプレ、テンプレ。
話の頭は、5/1。で、大まかなおさらいは、00年02月01日に。
今のブロックの先頭は、6月26日から。では、本文。
ラスク・Expert#2
<-『ラスク・Expert#1』 久しぶりの青空の下、思わず考え込んでしまう。 自分たちは、いや、自分は、アカデミーからの手紙で、両親が客死したことを知ったが、足取りが一切掴めず、また、その名が碑に刻まれることのない状況と言うのは、どれほど辛いことなのか…… ――私がそんなことを考えても…… 賢者となって、巣立ったラスクたちが失踪し、碑に刻まれることなく、時だけが流れていく。 ――……その時、私自身も賢者だとしたら……平静を保って……なんていられない。知ることが恐いし……報されないことも、恐い…… 心細くなり、その両腕で自分を抱きしめないと、どうにかなりそうになる。 今、確かに、彼女の弟は、彼女の傍にいる。しかし、いずれは、その掌(たなごころ)から巣立ち、自分の翼で飛び立っていくだろう。その時、失踪することなど無いように、紺色の髪の少女が居てくれるのが最良だ…… ――大丈夫。ユリさんなら……きっと、ラスクを助けてくれる…… そう考えたくて、クリスは頭を振った。 「まるで、ラスクみたいな季節だね」 クリスには、他意など無い。ただ、思ったままを口にしたまでのことだ。が、向けられた本人には、そういう意味には取れなかったらしい。 「どういう意味、それ?」 不機嫌そうな言葉を投げ返した。 「一日一日、有り様が変わっていくな、って、こと」 薄紅色の花も散り、萌え上がるように緑に染まっていくアカデミーと、自分の弟の見えないところでの成長を重ね合わせていたのだ。 ――次は、どんな季節になっているのかしらね。 そんなことを考えながら、始めて二人で来たときのことを思いだしていた。 二人だけで、ここに足を運んだのは、確か、その時が最初のはずだった。 「父さん、母さん」 自分が言い出すよりも早く、ラスクが切り出したことにクリスは、彼の成長の一端を見たような気がした。 : : 新たな年を迎えるための準備で慌ただしくなり始める頃。 今から思えば、全く正反対の、浮かない表情のラスクの手を引き、クリスが賢徒の碑を訪れたのは、そんな時期。駆け上がるように初級魔術士の階梯をクリアし、中級魔術士と認められたことを報告するために、訪れたのだ。 「ほら、しゃんとして。ラスクがそんな風でも、ここに刻まれてしまっていることに替わりはないの。」 「……報告したって、無駄じゃないか」 「そう思わないの。私たちを遺したことが、父さん達の心残りだったらどうするの?」 「……」 ラスクにしてみれば、クリスの言い分も判らなくもなかった。彼に、両親も、このアカデミーの在籍者だったことを告げた老師は、二人の名前を示しながら、もの悲しそうな声で、「まったく、師匠不幸な弟子共じゃよ」と付け加えていたからだ。 だからこそ、と言うべきでもないが、両親にも、アカデミーの制服に袖を通している自分の晴れ姿を、見せたかったのだ。 「父さん、母さん。ラスクが、中級魔術士の称号を受けました。父さん達が授かった賢者の称号までは、まだまだ遠く長い道のりですが、ラスクのこと見守っていてあげてください」 賢徒の碑に向かって一方的に告げると、クリスは頭を下げる。 「さ、もどろ。ラスク」 「うん……」 沈みがちな表情の弟の手をとると、クリスは、アカデミーの学舎に向かって歩き始めた。 : : ――ユリさんが来たことは……父さん達の配剤ですか? ユリとの出会いで表情を取り戻し、それが、ラスクの成長に繋がったように、クリスには感じられた。だから、彼女は、ユリたちの編入が、亡き両親から自分たちへの気遣いだと、思うことにした。 To be continued... -> 『ラスク・Expert#3』
ストック自体は、来週の火曜日あたりまであるから、そこまではノンストップで行けるけど……執筆作業の方は、いよいよラストブロック。着地点に繋がる、一番大変な部分でございます。
……最初はね、完全に排除しようと思った要素だったんだけど、いざやってみると……やる方が良さそうな感触なんでね。俺自身、ものすごい勢いで、コンプレックスになったし。
あははははは……抜け出すまでは、もうしばらくかかるか。
*1:ユリの魔導士昇格か、ラスクの魔導士昇格話