#46・『貴女(ユリ)じゃなきゃ』#5

テレビの向こうでは、毎年のように、さんまさんと中居くんがだべってますよ?
公共の電波で、ダベリってのも中々に凄まじいけどさ(笑)。
……って、何時*1に書いてんだよ、俺(瀧汗)。

さてと、いつものヤツ……を書くのも、あと2回か……長いねぇ。
大まかなおさらいは、00年02月01日に。話の頭自体は、今年の5月1日から。このブロック、つまり、最終ブロックの先頭は、7月12日から。
では、本文。

貴女(ユリ)じゃなきゃ#5

<-『貴女(ユリ)じゃなきゃ#4』

 機嫌を損ねたままだと言いたげなユリの言葉に、クリスは、「それ」が、彼女たちとラスクたちの決定的な違いだと言うことに気がついた。
「でも、ラスク、いえ、ラスクやアロエちゃんを除いたルキアさんたち八人にとっては、そう出来ることが普通のことなんです……」
 クリスの言葉に、自分を見下すような雰囲気を感じ取ったのか、ユリは、思わず噛みつくような言葉を投げ返していた。
「それって何? 私たちが下って事?」
「そうじゃありません」
「じゃ、どういう意味よ?」
 怯むことなく、まるで準備していたように否定の言葉を投げたクリスに、口を尖らせて言い返すのが、ユリにできる精一杯のことだった。
「ハードルが跳ね上がったことに気付いたんでしょうね…… それまで居た場所とは違って」
 採寸しながらの言葉なのでどことなく落ち着きがないのだが、公私をキッパリと別けているからなのか、言葉の調子が違っているせいで、混同している雰囲気が薄いことにユリは気付かされた。
「見方を変えれば、皆さん平等なのかも知れません。年齢など関係なく、ただ結果だけで判断するわけですから……」
 測り、書き込み、再び測る。ラスクとクラスの面々との距離感を口にしながら。
「でも、あの子は、ラスクは、他の皆さんのように、同じスタートラインに立っていた訳じゃないんです。ましてや、アロエちゃんのように、クラスに馴染むこともできず、ただただもがくように、トーナメントに出て……」
 と言ったところで、言葉が止まる。それを口にするのは憚られる、との思いがあったのだろうが、それを口にしないと前に進めなくなるような気もしたのだろう。意を決したように、クリスは微笑みを浮かべながら、ユリに告げた。
「そうしないと、自分の居場所が無くなる、なんて焦りでもあったのかも知れませんね」
「そんなラスクには、私たちの言葉が褒め言葉に聞こえたって?」
「かも知れませんね。それに、何処かで……こう言うと狡く聞こえるかも知れませんが、あなたなら受け止めてもらえる、って思ったから、告白したのかも知れませんし」
 とクリスに告げられて初めて、ユリは、ここぞという瞬間、主導権を握っていたのが、いつもラスクだと言うことに気がついた。普段は、彼女に併せるように、良いように振り回されているくせにだ。
「じゃ、何…… クリスとしては、私でもかまわないって言うの?」
「と言うか、あなたじゃなきゃ、出来ないと思ってますよ。実際、あなただから、今のラスクが居ると思いますから」
 と、クリスにかえされて、ユリは、シャロンの言葉の意味を半分理解した……
 あの言葉には、自分には出来無かったことをやってのけたユリに対する嫉妬が含まれていたことに。
「私の言葉だけでは不安だとしたら、本人に聞いてみたらどうですか?」

To be continued... -> 『貴女(ユリ)じゃなきゃ#6』

今日のあとがき(ダベリとも言う)

えーっと……明日の分量は少なくなります。はい。構成力が無いよね……本当に。泣きたくなるぐらい、構成力に見放されとる…… orz

しかし、今思う……これ、ラスクが主役のはずの話なんだが……ラスクか? 主役。
そんな気がしてきたぞ(汗)。いや、ラスクも居なきゃ始まらない話であることに変わりはないんだが、なんとなく、表に出ている時間の長さは、ユリの方が長いような気がしてさ……

さぁさ、泣いても笑っても、残る断片、後2つ。不肖冬崎めが綴り紡いだ物語。間もなく、完結の時を迎えます。ここまでお付き合いいただいた皆様。本日も含め、あと三日。お付き合いいただき、この冬崎が出した答えを見届けていただけますと、幸いにございます。

*1:一応、7/15 26時現在の話