#62・『report from LASK and YURI to sky.』#5

今日は、20日から続けてた増量が、更に50%マシなので、Cパートとなる第三ブロックが、先頭にくるのさね。こっから下に進めるようにはしてあるけどさ。

とは言うものの、そのままにするのはあまりに不親切なので、#60。

report from LASK and YURI to sky...#5

<- 『report from LASK and YURI to sky...#4』

「おやぁ? ユリさんも、その制服?」
 とラスクの傍に居るであろうユリを探すために、きょろきょろしていたのだろう。ユリの姿を認めると、まっしぐらで飛んできたルキアが、彼女の出で立ちを評した。
「わるい?」
 とユリが不満そうにぼやくと、
「だったら、ラスクに、ユリのことをお姫様だっこしてもらいたいところなんだけど」
 とルキアの方も、敢えて、不興を買いそうな言葉を投げかけている。
「悪かったわね。私の方が大きくて」
 ユリの不満が、不機嫌、と言うレベルに達しようとしていた、その時。
「で、どっちが先だったの?」
 と、ルキアが、それまでとはまったく違う声色で問いかける。
 主語は省かれているが、おおよそ自分に問いたいことは理解できている。
「私の方が先。その後に、ラスク」
「さっすが、ポーラスター」
 と呼ばれた側が、困惑するような呼び方と共に、ユリの背中をはたいてみせる。
「どういう意味?」
 突然、ルキアに背中をはたかれる格好になったユリが、その意味を問いかける。
 が、ルキアから帰ってきたのは、彼女の問いかけの返事ではなく、
「お疲れ様」
 との労いの言葉だった。

「ユリも、ラスクなんて、とんでもない相手に見そめられちゃってるよね」
 ルキアのラスクに対する評価に、ユリは少しだけ気分を害してしまう。
「とんでもないって……そんな言い方しなくても良いじゃない」
 と、率直に言い返すのだが、ルキアも、そんな彼女の反応は予想していたのだろう。
「だって、そうじゃない? 両親はアカデミーの出身で、しかも、賢者二世」
 ユリの言葉に、ラスクの出自を思い出させることで反論の糸口をふさぎ込む。
「だよね…… 私なんかで良いのかな、って……」
「でもさ、ユリ」
「なに?」
「あんたじゃなきゃ、つとまんないんだよ。あの子の標星(ポーラスター)は」
 その身体には、どう見ても大きい白銀の制服を纏っているラスクの姿を目で追いながら、ルキアは、ユリを励ましていた。


「レオンさん」
「ん? あぁ、そっか……どうだった?」
 アメリアが教室を後にしてからずっと、ぼんやりしていたレオンは、ラスクに呼びかけられたことで、我に返ったような表情を覗かせる。
「変わってなかったよ。サツキさんのまま」
「そっか……サンキューな」
「で、名前探しの件だけど、やっ」「賢者に頼めるかよ、そんなこと」
 続けた方が良いのか? とのラスクの質問を遮って、レオンがぶっきらぼうに言い放つ。その言葉は予想外だったのか、ラスクもぽかんとしてしまう。賢者になったからと行って、何かが変わったつもりは一切無かったからだ。が、それに続いたレオンの言葉は、彼自身の成長の証とも言えるモノだった。
「気になったら、見に行くさ。俺自身の目でな」
「わかった」
 その言葉に、ラスクも小さく頷いて答えていた。


 ルキアとの話も終わり、一人で、ラスクの用事が終わるのを待っていたユリの元に、ラスクがかけよった。
「終わったよ、ユリ」
「じゃ、行こっか」
 ユリの言葉に、ラスクは頷いた。


「ねぇ、ラスク」
「なに?」
 王子様だっこされて、真っ赤になっているラスクが、ユリの呼びかけに答える。
「何時か、お姫様だっこしてくれる?」
「ぼくが大きくなったらね」
 ユリの問いかけに、ラスクはしがみつきながら答えた。

to the LAST PIECE -> 『appendix postscript』

ダベリ

最後の話の冒頭が、ルキユリって構図になったのは……俺自身にとっての標星がそうだったから、なのかも知れない。最初は、単なる偶然だろう、と思ってたんだけど、よくよく自分自身に問いかけてみると……やっぱさ。必然、なんだろうね。
なーんていうと、『ユリは、そんなキャラじゃねーだろ』ってな反論も聞こえてきそうだけど、これに関しては、ユリの方には、俺の精神面の投影が強いから、こういう形になってしまうのさね。
で、ルキアの方は、最初、つまり、『境界線』のパジャマパーティ主催者として出したときは、端役で終わらせるつもりだったのに、終わってみれば、タイガと似たようなポジションに納まってて、ね。
イメージ的にも、動かし易く感じるから、こういう結果になったのかもしれんね。無神経に踏み込むんじゃなくて、踏み込むからこそ、その後のフォローも忘れない、って感じでさ。

さてと。

人によっては、名残も尽きないかもしれませんし、「なんだ、その力尽きたような終わり方は?」と言いたい人もいるかもしれません。
が、俺としては、やれる限りを尽くしたつもりです。
QMA3をプレイし、フィギュアコレクションVol1のユリが引き金になった、その衝動のままに、書きつづった、全部で六編の物語も、明日の『ちょっとした後始末』を残すのみとなりました。
どれぐらいの人が、最初から、付き合っていただけたのか、そして、今日のこの時まで付き合っていただけたのか、俺には判りません。
ですが、皆様がいてくれたおかげで、二枚のカードを賢者に昇格させることができ、また、この時を迎えることができました。
ですが、3から4に切り替わっていく、このご時世、昇格にまつわる意味合い、土台とする舞台が切り替わっていく以上、QMA3をベースとする、この物語を続けることは、無理があるように思われます。
そのため、明日、皆様にお見せする最後の欠片を持って、一旦、幕を引かせていただきたく、思います。

では、何時か何処かの空の下、縁有れば、また逢いましょう。