さてと。爆弾発言を受けてのBパート。
report from LASK and YURI to sky...#4
<- 『report from LASK and YURI to sky...#3』 問いかけた相手が、自分の問いに答えることがないことぐらい、ユリだって承知している。だから、これは、願い出る、と言うよりも、報告との性格が強い言葉だ。 ユリの胸に抱かれる格好になっていたラスクが、目を見開いて、碑を見つめる彼女の顔を、見上げている。 「なに? どういうこと?」 つぶやくように、ラスクがユリに問いかける。が、ラスクの呟きは、風にかき消されたのか、彼女の耳に届いていないようだった。 「……なんて、先輩たちに訊ねても意味、無いですよね」 と、寂しそうに、ユリがつぶやいた。 平静を取り戻したのか、ラスクが、さっきよりは、大きな声で、ユリに問いかける。 「どういうことか、判ってるの?」 「判ってる」 ユリの方も、その意図を理解したように、答えている。彼女の言葉に、どう答えればいいのか、悩んでいたラスクだったが、それよりも早く、ユリの方が、言葉を繋げていた。 「ユリ=エンライトンなんて言わない。ユリ=ポーラスター・エンライトンにしたいだけなんだから」 「どうして?」 「アメリア先生は、返上するのは許さない、って」 と、あっさり言葉を返されたが、今の時点で、彼女の中で、自分がそう言う存在になっている事を理解して、ラスクが、聞き返す。 「ぼくで良いの?」 「私じゃ不満?」 反問に反問で答えられ、ラスクは真っ赤になりながら、俯き加減で首を横に振る。 「なら、それで良いじゃない」 ラスクの返事に、ユリは優しい声で答えていた。 「また、何時か来ます」 と別れの言葉をラスクが碑に向かって投げかける。 「今度は、私の名前が変わった、って報告かもしれません」 「気が早いってば」 自分の言葉に続いたユリの言葉に、ラスクも、呆れたようにつぶやいていた。 「報告は、済んだんか?」 教室に顔を出した二人に、真っ先に気付いたのか、タイガが教室の誰よりも早く、問いかける。と、それが合図になったのか、教室で思い思いに過ごしている面々の視線が、二人に注がれる。 「う、うん」 恥ずかしそうに応えるラスクの様子を見て、ルキアが真っ先に飛び込んでくる。 「ちょっと、何それ、ラスク。どう見ても、着られてるじゃない」 とひとしきり笑い終えると、誰かを捜しているかのように辺りを見渡し始めた。そんなルキアの様子には気にも止めずに、アロエが、賢者服姿のラスクに、羨望のまなざしを送っている。 「いいなぁ」 「大丈夫、大丈夫。アロエちゃんもトーナメントで頑張れば、そのうち着られるようになるわよ」 と励ますように、ルキアがアロエに言葉をかける。 「御祝儀、出ないアルか?」 とは、ヤンヤンの弁だがラスクには、苦笑いを浮かべることぐらいしかできなかった。 To be continued... -> 『report from LASK and YURI to sky...#5』